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日記『日本車と過信』

縁あって、たまに中古車トラックを自分で運転して目的地へ運ぶ仕事をしてるんよ。

中にはこんな車誰が買うんだ?と思うような年式や程度の車を運ぶ事もあるんやけど聞けば主に輸出だそうで。
普段乗用車しか乗らないこにたんには理解しがたけどトラックはこの程度でも海外からみたら上物で、なにより今でも日本車の信頼は絶大らしい。

こにたんは新車主義なので中古車にあまり乗ったことがない。
とはいえ仕事だし、持ち主がどう扱っていたか内部の衛生面は気にしても車自体は日本車だったら同じく絶対的な信頼感があって。
この日もオークション会場からオークション会場へ運ぶ慣れたコース。
出発前、簡単に内外装、オイル、バッテリー、タイヤなどをチェックして
ゲートを出るまでの間にブレーキとミッションに問題がなければそのまま依頼地まで走らせる。

この仕事は経費が自分持ちとなるので如何に経費を抑えるかが大事。
なので基本下道で走るんだけど、この日は納車時間がタイトだったので途中から高速に乗ったわけ。

割と綺麗なトラックでエンジンの調子もよく音楽を聴きながら鼻歌交じりにハンドルを握ってて。

トンネルを抜け下り坂。小雨が窓ガラスを濡らし始めたので速度オーバーにならないよう軽くブレーキを踏もうとした瞬間。

ガクンって振動とともに、車が右に旋回。

穴ぼこなんかあったっけ?この小雨でスリップするか?
数秒間にそんな事が脳裏によぎりながらハンドルを切るも車はどうにも旋回を続ける。

やっちゃったかー。気を付けて運転していたんだけどなー。

ガードレールにぶつかっても旋回はとまらず二回転目に入るか入らないかで、やっとブレーキが効き出してなんとか止まった。

後続車がぶつかってくるかなと少し身構えたけど、奇跡的な停止位置と車間距離で二次災害は免れた。

身体に痛みはないんやけど、どこか切ったんだろう作業着は血しぶきが少し付着。

警察と会社にも連絡せなあかんなぁ。

何をどんくさいことしたんやろう。真っすぐの下り坂なので腑に落ちないながらハンドルを回してみたが車は動かない。

反対に回してみるもくるくる永遠に回り続ける。

そう正確には違うんやけど、わかりやすく言うと走行中ハンドルが外れて操舵不能になったのが事故の原因だったわけ。

警察と会社に事故報告しても最初は信じてもらえなかったんやけど、
車の状況を見てもらうと皆が口を揃えて『こんな事故、可能性はありえるけど初めて見た(聞いた)。』と言う。

こにたんもこんなことあり得るのかと思ったけど、ある人曰く宝くじの1等当てるより低い確率ちゃうと言われながらも現実に起こったわけさ。

車両はレッカーで引き揚げ。事故渋滞は発生させてしまったけど他に大きな被害もなく自損事故処理で片付いた。

周りも事故の放心を気にかけてくれてたんだろうね。今回の事故は一般レベルの運転手や点検なら気付かないと慰めてはくれる。

でも事故処理中も終わって帰る時もずっと脳裏を駆け巡っていたのが、たまたま高速に乗って被害の少ない場所でハンドルが外れたのでこれで終わったけど、あれが一般道で歩行者がいたら、もしくはその先で走る予定だった堤防沿いの道路で発生していたら。

今、世間では運転者による誤操作をピックアップしがちだけど、車自体も走る凶器だから日本車というだけで過信することなく日頃の点検も慎重に慎重を重ねても多すぎる事はないって教えられた。

これを読んだ人が、一つでも気にかけて事故が減れば嬉しい。

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