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【読書感想文】曽野綾子「人間の基本」

はじめに

こんにちは!コヌズメと申します。

説教って、嫌ですよね。しかし負の感情に流されて、価値あるものを見落としたくはないものです。

以下、感想文です。よろしくお願いします。

読書感想文タイトル「愛の鞭」

 私は物書きの名前をほぼ知らないので、本を選ぶとき、タイトルくらいしか手がかりがありません。そんな中、目に飛び込んでくる「人間の基本」の文字。お、でっかいテーマだ、と思って手に取りました。

 本書がまず教えてくれたのは、現代人の情報依存の生活が、いかに能動的な思考や豊かな想像力を欠いたものであるか、ということです。

 情報技術によって答えを簡単に見つけられるようになった一方で、現代人は自分で考えることを放棄してしまっている。そういうことを指摘しつつ、生きるうえで大切なことをいろいろと書き綴ってある本でした。その根底には「思考停止はいけない」という通念があったように思います。

 特に常識とかルールについての筆者の考え方は面白かったです。ルールには好き勝手な行動に歯止めをかけるという目的があるわけですが、ルールに従っていれば何も考えないでいられるという副作用があります。ルールに従うとき、この誘惑に安易にのっていないか、自分に問うことが大切なのだと、本書から学びました。

 他にもいろいろと勉強になりました。温室育ちの私には欠けていた視点だと思います。確固たる自己を持ち、思考停止にならぬようにしたいものです。

 という風に、学びはあったのですが・・・

 それはそれとして、この本・・・

棘のある言い方がいっぱいです。

 頭では理解できるし、実際生きるうえで大切なことをたくさん教えていただいたと思うのですが、同時に嫌な感じもありました。もちろん、図星だからこその嫌悪感ですが、そのせいであまり集中できませんでした。自分を持てない人や心が弱い人、または臆病な人達に対する、軽蔑が垣間見えます。

 ですから、特に若い世代でこれからこの本を読む人がありましたら、ちょっと身構えたほうがよろしいかと思います。愛の鞭と身構えておけば、経験豊富な人生の先輩からの、心地よい説教と感じられるかもしれません。

著書紹介

「人間の基本」
曽野綾子
2012年3月20日 発行、 新潮新書

 小説家で、日本財団会長を務めた経験を持つ曽野綾子氏による、エッセイです。発行時期からも察せられます通り、東日本大震災を受けて書かれたという文脈も感じられます。

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