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ウルトラホークの発進シーンは、諸刃の剣でもあった?

ウルトラセブンにおける主力戦闘メカのウルトラホークは、ウルトラマンのジェットビートルに比べると、発進シーンが特に力が入れられています。

これは当時、円谷プロがアメリカのサンダーバードの影響を受けたからだとされます。特に発進シーンには強い感銘があったそうで、ウルトラシリーズでも大きく取り入れてみよう、という強い意欲がありました。

こちらがそのサンダーバードの発進シーン。

ウルトラマンのジェットビートルもサンダーバード2号の影響を少し受けているであろうシーンもありますが、ウルトラホークと比べると発進シーンは堅実で簡素な印象です。

大体、ジェットビートルは30秒足らずで出撃しますが、ウルトラホーク3機は制作最初期にバンクシーンとして発進シークエンスが撮影されたために、かなり細かい描写となっています。

そのホークの発進シークエンスがこちら(08:08から)。

ホーク2号と3号の発進シークエンスはフルだと50秒~1分くらいですが、メインの1号は何と2分弱と圧倒的に長くなっています。
カタパルトに入ってきた所から始まっても1分半と、やはり発進シーンは長いです。

サンダーバードの影響を強く受けたであろうというがよく分かり、見応え抜群なのですが、残念ながらこのホークの発進シーンをフルで見る機会はかなり少ないです。

毎回、発進シーンを細かくしていると、他のドラマのシーンの尺の割を食ってしまうことにもなるため、必然的に必要なシーンだけを抜き出すだけに留めています。
ほぼフルでしっかりウルトラホーク1号の発進シーンが見られるのは、

  • 第6話「ダーク・ゾーン」

  • 第10話「怪しい隣人」

の二つぐらいしかありません。
発進シーンが長いというのは、同時に尺稼ぎができるということでもあり、上のダークゾーンは物語の内容としては実は結構薄く、派手なシーンも少ないので、その足りない分を発進シーンで補っている一面もありました。

サンダーバードを意識し過ぎた難点

戦闘機の発進シーンに力を入れるようになったのは良いのですが、一方で「サンダーバードを強く意識しすぎた」という一面もあります。

当然、番組はあくまで「ウルトラセブン」なのですが、制作初期のエピソードは肝心の主役であるセブンの活躍がほとんどなく、番組が「ウルトラ警備隊」止まりとなっている雰囲気がありました。

上記の「ダーク・ゾーン」もそうですが、次話の「宇宙囚人303」に至ってはセブンの戦闘シーンすらありません。
その代わりとしてホークの空中ドッキングという見せ場がクライマックスで用意されていたのですが、そこで制作側が満足してしまって、セブンの活躍を入れる所まで気が回っていなかったのです。

メカニックの特撮シーンで魅せる」という意欲があるのは分かるのですが、当初の制作側が視聴者に見せたかったのは「メカニック」であって、ウルトラセブンの活躍ではなかったことが見て取れます。

ホーク一号の発進シーンが長く作られているのもそのためであり、ダーク・ゾンのエピソードではセブンの活躍どころかホーク自身の派手なシーンすらありませんでした。

よって、第1クールのセブンの実際の戦闘時間はほとんど1分足らずで、演出も乏しいばかりとなっています。

このように、ウルトラホークの発進シーンや活躍はシリーズの中でも屈指の出来栄えなのですが、引き換えとしてセブンの活躍が少々おざなりになってしまったという負の一面もありました。

帰ってきたウルトラマン以降はこのウルトラホークでの反省もあったのか、比較的発進シーンが短めに抑えられている傾向となっています。

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