![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142098920/rectangle_large_type_2_e01a20b752121cf570a02a4c7676f2d2.png?width=800)
ウルトラマンの「謎の怪獣」の正体のヒントはデザイン画にあった?
ウルトラマンの第12話以降のオープニング映像には「謎の怪獣」と呼ばれる正体不明の怪獣のシルエットが登場します。(およそ36秒から51秒)
この怪獣については50年以上経った今もなお、正体については結論が出ておらず、作画を担当された飯塚定雄氏の発言も一定していないので、結局謎なままです。
それで結局、正体は何なのかという訳ですが……。
マグラー説
一番印象に近いとされるのが、このマグラーと言われています。
マグラーは四足歩行ですが立った姿もあり、ずんぐりしているのがとてもよく似ているので多くのファンからは「立ったマグラーだと思ってた」という声が多いほどです。
しかし、この後期オープニング映像のシルエットは基本的に登場する怪獣がダブらないようになっており、この謎の怪獣の後に伏せているマグラーのシルエットが出ているため、「マグラーではない」という意見も出ています。
![](https://assets.st-note.com/img/1716861972948-UdbMPA0R91.png)
ゴルゴス説
シルエットを描いた飯塚定雄氏本人がインタビューで「これはウルトラQのゴルゴスである」というコメントがあり、作者本人からの言葉である以上、これで確定……という訳にもいきませんでした。
上記の書籍より前の2010年に発刊された「僕らを育てた合成のすごい人」という書籍では「一般的な怪獣のイメージで作ったもので、モデルはいない」というコメントがあり、証言が二転三転しているので信憑性が薄くなってしまっているんですね。
肝心のゴルゴスと比べても尻尾やトゲが無かったりと、全然印象が違いますので、納得はできない形で結局謎は深まるばかりです。
アボラス説
2012年に発刊された「ウルトラマン全調査報告」という書籍ではこのオープニング映像について少し取り上げられており、そこでは19話に登場したアボラスであるとされています。
アボラスは額に角があるので印象は確かに似ていると言えなくもないですが、アボラスが登場するのは12話より1か月半も先です。
「光線を描き続けてきた男 飯塚定雄」という書籍において飯塚氏はオープニング映像について、「まだ本編に登場していない怪獣も描いた」というコメントがあることから、もしかしたらまだ登場していなかったアボラスを描いた可能性も少なくないかもしれません。
ただ、このコメントは前期オープニングにおいて放送第一話及び制作第一話の段階でネロンガのシルエットが出ているので、このことを言っていた可能性もあります。
アボラス自体のデザイン画も12話放送日とほぼギリギリのタイミングで、着ぐるみも出来上がるのは一週間も先の話なので、アボラスの線は薄いと思われます。
ガヴァドン説
印象がそれなりに近いのが、ガヴァドンのBタイプです。
話数的にも15話なので、デザインがギリギリ間に合っていれば、それを参考にして描いたという線もあり得ます。
ただ、ガヴァドンはA・B両方とも基本は四足歩行の怪獣で、Bは無理矢理立つような感じで、シルエットのような背中がゴツゴツとした感じではないので違う可能性の方が大きいでしょう。
肝心のデザイン画は四足歩行時のものしかありません。
ベムラー説
まず謎の怪獣の第一印象は「全身にトゲのような突起がある標準的な怪獣」というものが前提となっています。
Qからマンの12話までにトゲが体にある怪獣こそが上記のマグラーと第1話のベムラーの二体だけになります。
ベムラー自体は細身の体で謎の怪獣と比較すると印象は異なりますが、さらなる飯塚定雄氏の証言として「身体中にトゲのある怪獣」という注文のみを聞いて、デザインを見ずに「ベムラーを描いたつもり」というものがあります。
この発言なら、上記の「漠然としたイメージの怪獣でモデルはいない」というコメントにある程度近いので、ベムラーを漠然と描いたという可能性もあります。
また、後期オープニングのシルエットにはちょっとした秘密がありました。
実は後期に出てくるシルエットの一部は、ある程度怪獣のデザイン画の構図にそのまま合わせているというものがあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1716860903515-cT5TwerdyQ.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1716860918645-j9qzjXSP0K.png?width=800)
![](https://assets.st-note.com/img/1716860922121-STW1s0vcPW.png?width=800)
そして、肝心の謎の怪獣の全体像とベムラーのデザイン画を比較してみると……。
![](https://assets.st-note.com/img/1716830295021-zNR7vizizy.png?width=800)
驚くべきことに、そっくりなんですね。
ベムラーはデザイン画では顔つきも怖く、口の開け方もよく似ています。
細い体とは似ても似つかないずんぐりとした体形ですが、これはベムラーの全体像をそのままにすると画面に入りきらない(実際、入りきってないが)ために収まるようにデフォルメにしたという線もあり得ます。
また、細い手が太めになっているのも、そのままだとヒョロクてインパクトが小さいので、強くするためにあえて太くしてインパクトを強めたのかもしれません。
パゴス説
上記のようにデザイン画にある程度合わせている、という線からもう一体構図が似ている怪獣がいます。
ウルトラQに登場したパゴスは四足歩行のデザイン画の他に、二足歩行のデザイン画があります。それと比較してみると……。
![](https://assets.st-note.com/img/1716830254485-TPKKbLGcal.png?width=800)
こちらも腕の配置がよく似ており、シルエットの角のような部位もパゴスの鼻先が尖っているのを表わしていると言えなくもありません。
![](https://assets.st-note.com/img/1716861543302-nx0Yphqd7C.png)
ただ、問題なのは後頭部にある二本の角の存在で、謎の怪獣の側にはそのようなものはないので両者の印象を薄める要因にもなっています……。
結局、謎の怪獣の正体はハッキリせず、飯塚氏もお亡くなりになられたので真相は闇の中なのですが、デザイン画との比較で「ベムラー」か「パゴス」のどちらかが正しいのだと思われます。
前期オープニングに出てくるゴリラのようなシルエットはゴローかと思ったら、M1号だったというのがコンテから判明したそうなので、後期オープニングのコンテが残っていて情報がちゃんと書いてあれば、全ての謎は解けるかもしれません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?