分離から統合への道〜BodyTalkとは〜

BodyTalkの概略


BodyTalkはオーストラリア出身のカイロプラクター、鍼灸師であったジョン・ヴェルトハイム氏によって1996年にアメリカで体系化された手法で、日本には2007年に翻訳、導入されたセラピー様式です。

日本でもBodyTalkを専業とするセラピストや医師、看護師、カイロプラクター、鍼灸師、PT、OT、整体師、カウンセラー、エネルギーヒーラー、パーソナルトレーナーなど、治療家や援助職に広がってきました。

また、元々そうしたプロではなく自分自身の悩みや不調がきっかけでBodyTalkの施術を受け、自分の変化に感銘を受けて今度は自分が人に施術したいと思うようになり資格を取得し開業している施術士もいます。

包括的なアプローチが持つ意味

BodyTalkは人体を心身複合体として包括的に捉えています。

物質的な肉体はもちろん、認知や記憶、感情、仮の人格(ペルソナ)などの心理的側面、経絡やチャクラなどのエネルギー的側面、さらには環境因子や遺伝的因子、生まれながらにして引き継いでくる他者の過去の記憶など、ここには書ききれないくらい様々な側面を持ち、それらが動的に繋がっている複合的な存在としてホリスティックに捉えています。

全ては繋がっている以上、どこかにアプローチすれば他の要素にも影響は出ることは出ますが、人体のとある側面しか見ないというのは往々にして片手落ちになりやすいので包括的な視点が非常に重要なのです。

BodyTalkの基本原則「全ては繋がっている」

この世界の全ての事物は繋がっている というのがBodyTalkの理解の上では欠かせない基本前提です。

このことはベルの不等式の破れによって証明される量子物理学における世界観でも、「縁起」や「重々無尽」という言葉で説明される仏教哲学においても、「ワンネス」という表現がされる精神世界の分野でも述べられていることで、全ては互いに影響を及ぼしあう相互関係にあるということです。

もっと言えば、究極的には全ての事物は本来分け隔てることはできない
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であり、種々の事物が別個の存在に見えるのは、五感と脳を持って生まれた私たちが見ているのは分離という幻想によるものである という話まで行き着きます。
つまりは「非二元」です。

しかしそこまでいくと実感は難しいので、ここでは全ての事物は繋がっていて、お互い影響をし合う相互依存の関係にあるという理解で構いません。

BodyTalkにおいては、心身複合体を構成する全ての要素同士はお互いに連携を図っていて、それができていると自然治癒力は高い状態と考えます。

しかし、私たちが生きる分離の世界では種々のストレスが、心身複合体を構成する要素の互いの連携を分断させてしまうのです。

そうなると連携が取れない要素は、まるでオーケストラで他の楽器の音が遮断され、指揮者が見えなくなった奏者のように機能停止や暴走が生じてきます。その結果として心身の不健康な状態に陥るのです。

分断された繋がりを繋ぎ直す

では心身の健康を取り戻すためにはどうするか。それは失われてしまった連携を回復させれば良いのです。

体を構成する様々な要素の中から、どの要素とどの要素の連携が失われているのか、どことどこを繋ぎ直せば良いのか探していく。それがBodyTalkのセッションの大半を占めます。

つまり、どの要素が悪くなっているのかを探すのではなく。どことどこを繋ぎ直せば良いのか、また失われている連携の中でもどの連携から優先的に繋ぎ直していけば良いのかを探します。

しかし心身複合体を構成する要素は膨大です。無限とも思える可能性の中から自分の頭で考えて失われた連携を探していくのではいくら時間があっても足りないですし、そもそも失われた連携は医学的に知られているものとは限りません。

そこで必要なのが、プロトコールチャートとバイオフィードバックの原理です。

BodyTalkプロトコールチャートとバイオフィードバック

BodyTalkにはプロトコールチャートというものがあります。
これは心身複合体の地図のようなもので、人体を構成するあらゆる要素が網羅されています。その中から失われた連携を探すのですが、その際にキネシオロジーのような筋力反射テスト(神経-筋バイオフィードバックテスト)を用います。

腕を持ち上げる動作をしながら頭の中で「○○は優先?」というような質問をし、軽く感じる、重く感じるでYesとNoを判別します。

そうして探していくことでクライアントや施術者が思いもよらなかった失われた連携が見つかったりするのです。

例えば神経-筋バイオフィードバックテストによって見つかったのが脳下垂体と甲状腺の連携ということであれば、これは医学的にも説明がつく甲状腺刺激ホルモンのことだとわかるかもしれません。

しかし大脳皮質と大脳皮質と花粉との連携を取り戻した結果、花粉症が消失するかもしれないというのは一般的には頭で考えて導き出せるものではないでしょう。

また、BodyTalkを深く学んだ人にとっても解釈不能な連携ということも当然あります。
人間が人体についてわかっていることなどというのはごく一部です。人間の体については「既にわかっている」というある種の傲慢さは、本来の回復すべき連携の発見の邪魔になることでしょう。

タップ

そうして回復すべき連携を見つけ出したら、その連携を繋ぎ直す刺激を入力します。それがタップと呼ばれる技法で、手によって波(振動)を発生させ、情報を脳や心臓、腸に伝達することを目的にしています。

タップすると連携が回復されるので、その後は次に連携の修復の優先度が高いものを神経-筋バイオフィードバックテストによって見つけ出し、またタップによって連携を回復させるということを繰り返します。

症状や病名には着目しない

したがって、BodyTalkの施術は表に現れている症状や病名に狙い撃ちしているわけではありません。クライアントの訴える主訴に狙い撃ちするわけでもありません。
心身複合体全体からみて、現時点での優先順位から手をつけていくことをするので、施術者も思いもよらない連携の回復が行われることもあります。
その点も他の手法とは大きく違うところでしょう。

これは過去に主訴を狙い撃ちする手法を学んで実践してきた経験から言えることですが、そうすることが逆に遠回りであったり、根本的な解決に至らないということが多いのです。

例えばある心理療法を使えば単発性のトラウマの解消は短時間でできますし、基本的にそう難しいものでもありません。
しかし、問題は同じ経験をしてもトラウマが生じやすい人と生じにくい人とがいるということです。

トラウマが生じやすい人は、ある意味そういう土壌を持っていて、その土壌の改良からやらなければまたちょっとした経験でトラウマができてしまうので根本的な解決に至りませんし、むしろその心理療法が無いと生きられない人になってしまいかねません。

雑草を抜く時に葉っぱだけちぎってもすぐにまた生えてくるのと同じで、表だった主訴や症状に狙い撃ちしてもまたすぐにぶり返したりするものです。

BodyTalkの将来の可能性

残念ながら現在BodyTalkは何か困ったことがあった時の選択肢としてすぐに候補に上がってくる程の知名度はありません。
これには様々な理由があると思いますが、大きなものは

・説明が難しい
・見た目(タップ)が珍奇で変に思われる
・主訴を狙い撃ちしないので効果が分かりにくいことがある

ということがあると思います。

ただ、もしかしたら未来にはこうしたやり方は当たり前になっていて、むしろ今の私たちが中世の加持祈祷や近世の瀉血療法を笑うのと同じように、今の手法が前時代的だと笑われている時代が来るのかもしれません。
もしくはBodyTalkよりもさらにずっと優れた手法が開発されているかもしれません(むしろそれを願います)。

最後に

ここまで見てみるとBodyTalkは「セラピー」と見えることでしょう。
確かに起こる変化を見ればそのように見えるかもしれません。

私自身も生まれつきの酷いアトピー性皮膚炎や重度の食物アレルギーをBodyTalkを通じて克服しましたし、クライアント様の例を見ても一般的には治療法がないとされる困難な状態から脱却されてお元気に過ごしていらっしゃる方は数多くみられます。

しかし私はBodyTalkをセラピーとも治療法とも思っていません。あえて言うならば「人生をより良く生きるためのツール」であり、「本当の生きたかった生き方ができるようになるためのツール」、はたまた人生の時期によっては「分離から統合の道に進むためのツール」でもあります。

健康でありたいという強い拘りは「病気VS健康」という二元の世界に生きているということでもあります。この世界線に生きている限り、病気と健康との両極に振り回されることになります。

この世界線への拘り(執着)を捨てることで、本当の意味での「健康」が手に入る、それは「絶対にここで入れなければ」と気負いすぎたシュートよりも、無心で放ったそれの方が入りやすいのに似ています。

「病気VS健康」だけでなく、善と悪、成功と失敗、責任と自由、幸と不幸、争いと平和などの様々な二極の世界線への拘りを捨てていきませんか。その過程でBodyTalkはあなたの伴走者として大きな役に立てることでしょう。


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