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おむすびの力と不思議なご縁



3日前の夕方の出来事

夕方、いつもの川沿いを犬と散歩していたら
見かけぬ男性が2人

川に入って何かをとっている

「何とってるの?」

「在来種の魚です。でも、まだ、
   1匹もとれていなくて」

「へぇー、夕ご飯にするんか?」

「いや、食べないっす!苦笑」


そんな会話をして散歩を続けていたら背後から

「とれた!!」の声

もう、私は気になってしゃーない

犬の散歩も程々にして、彼らの方へ向かった

彼らとのすれ違う時に

「とれたか?」と聞いたら

「とれた」とのこと

「見へて〜」とそばに近づく私も

「こんなのが泳いでるんやなぁ
  ところで、あまり見かけないけど
  この辺の人?」

「いや、僕ら大阪です!」

「え!!大阪からなんで滋賀のこんな
    住宅街の川に来ているんや?」

「ここでしかとれないんですよ。この魚!
昔は日本にしかいない固定種の魚だったけど、今は数も減って在来種になってるんです」

「へー、住んでて知らんかったわ」

「声かけてもらって、すぐ、とれたんですよ。
  なんか、もってはるわ!!

  昼からずっととれなかったのに、
  喋った瞬間に二人とも1匹ずつとれたん
  めっちゃ、嬉しいです!」

「いやいや、私の方が大阪から
 私らの住む場所まで来てくれてることが
  嬉しいわ」

彼らのお偉いのは手を止めて話すところ

聞くところによると、二人とも24歳らしい

「もう、暗くなってきたし
 山水で冷たいからそろそろあがりや」

「はい」

彼らとは別れ、なんか
楽しい時間だったなぁと満足して帰った

玄関を入ると、お昼に炊いた
山椒の佃煮のいい香り

「そういえば、さっき、
 土鍋でご飯炊いたのがある
 まだ温かいはずだ」

とピンときて、すぐに、手を洗い
拭いて、手の上で塩を溶かし

山椒の佃煮を混ぜて
おむすびを2つ作った

私の作ったおむすびは、友達も喜んでくれる

特に、自然の中で遊んだ後は
すごく喜んで食べてくれる

彼らの体験の中に、ひとつ「温かいおむすび」
を加えてあげたい

おむすびを作り自転車に乗って
さっきの場所へ

まだ、川の中に、背中を丸めた彼らはいる

「もう、暗いで上がっておいで
 また、来たらいいやんか」

「はい。もうちょっとだけ」

「おむすび、作ってきたで、食べるか?」
「わ、めっちゃ嬉しい!」とすぐに上がってきた

やはり美味しそうに食べる

「あったかい、山椒、美味しい!!」

「ごはんの味が違う!!」

若い男性はこんなに美味しそうに
おむすび食べるんだなぁと
感心してみていた。

ふと、彼らに目をやると
二人が空を見上げて食べている

薄紫色の空に細ーい月とひとつ大きな
星が輝いていた

もう、言葉いらない

3人で空を眺めた

本当に綺麗だった

「ごちそうさまでした」

「はい、また、おいでや」

「また、来ます!」

「気をつけて」

と言葉を交わし家に帰る私

若い人たちは賢い

この時代を生きる知恵と感覚を備えて
生まれてきている

私の世代に何ができるかと考えたら

彼らの体験に少しだけ

「温かみ」

を添えてあげることかもしれない

何も特別なことではなく

自分の日常の中にいれてあげる

そんなことをふと感じた、夕暮れ時だった

ひろきくん、ゆきひろくん
また、会いましょう!


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