ABEMAから学ぶ30のグロース施策
メルカリでPdMをしているKonosuke Nakajimaです。
このnoteは、アプリのスクショから勝手にグロース施策を分析したり、
その企業のPdMだったらどう改善するかをまとめている、
『グロースをハックするノート』の第4弾です。
今回は、ABEMA(最近AbemaTVから名称変更した)を分析しました✎
デバイスはいろいろありますが、スマホアプリに絞ってみています。
はじめに : ABEMAとは
ABEMAとは、2016年4月に本開局した、テレビ&ビデオエンターテインメントとして展開する動画配信サービス。
オリジナルのニュース番組や生放送番組をはじめ、アニメやドラマ、音楽、スポーツなど多彩な番組が楽しめる約30チャンネルを24時間、すべて無料で提供しています。
開局4年で5,200万ダウンロードを突破。WAUは1,000万を常に超えており、直近の巣篭もり需要で1,200~1,400万ほどに。(すごい)
2020.2Qのメディア事業売上が138億円とのこと。(決算から)
(メディア事業売上 = "ABEMA" + "Ameba" + "WinTicket" + "タップル" + "AWA"の売上等 )
ABEMAのビジネスモデルは広告&有料課金のハイブリッドモデル。加えて直近はショッピングやギフティング、ギャンブル売上なども加わってきます。
有料会員数はYoY170%の67.6万人。すごい勢いで伸びている
現在は、18~24歳が29%、25~34歳が28%となっており、34歳以下で半分以上占めています。
グロースは事業ステージによって変わり、今は若年層だけでなく30代以降も取りに行こうとしている感がありますが、このnoteでは全体的なグロースのポイントに焦点をあてていきます。
インストールからオンボーディングまで
1. 使い方とインストール直後のワクワクをアニメーションで多く伝え、テキストはシンプルに(アニメーションをスクショでは伝えられず..)
2. 面倒 or 再インストールユーザー向けにSKIPがあるの良い
3. オススメ番組を知らせるよ!と通知する理由を明示してから許諾ポップアップ表示(何のアプリか理解して、いくつか番組を閲覧してからだと、もっと許諾率上がるかも)
オンボーディング後のオンデマンドとリニア視聴
4. オンボーディング直後はまずABEMAビデオを表示(昔はDL直後リニア視聴がすぐに再生された)。登録していない分パーソナライズされていないが(その分登録の手間なし)、人気作品を訴求しアクティベーションを図る
5. アプリインストール直後、登録せずすぐに無料でハイクオリティのドラマを視聴できるのは最高のWOW体験
6. 他にも続きが複数話ある中で、今何を視聴しているか分かりやすいUI設計
7. 視聴しながらの回遊設計。動画をずっと視聴していると、どこかで手持ち無沙汰になる。動画を見ながら、他におすすめの作品や人気作品など、次に見たい動画を探せる (後で見る用に保存もできる)
8. (案)他の動画を探すときは、閲覧中の動画を再生しながら、別の動画を探せるようになると良いかも知れない(今のYoutubeのようなUI / UX)
9. ABEMAのテレビ機能。スワイプでチャンネルを切り替えられるタブUI。今見ているもの、他にもこんなにチャンネルがあるんだ!ということを直感的に伝える。また切り替えながら遅延がほとんど起きない。遅延の起きない設計にかなり力をいれている (こういうの超大事ですよね..)
10. 動画の探し方オンボーディングが9の直後に表示。動画は再生されたままViewが立ち上がり、使い方説明時もユーザーを動画から途切れさせない
11. 視聴数の可視化。こんなにも多くのユーザーが見てる人気番組なんだ!と、初視聴ユーザーに興味をもたせる(初期はこんな時間でもこんなにたくさんの人が同時見ているんだ!と感動していました..)
12. コメント機能。スマホで一人で見ているバラエティも、お茶の間でみんなで見ているという疑似体験を創る。(匿名なのでよく荒れているが..)
オンデマンド視聴とマイビデオ登録
13. スマホ最適なコンテンツ設計。従来のテレビに適したテロップや、何段もあるひな壇はなく、スマホで見やすいテロップや撮影を行いコンテンツを生成
14. 見逃した動画も数日間は無料で閲覧可能。リニア × オンデマンドのハイブリッドモデルならではのイノベーション。この動画から興味を持ってくれたユーザーが有料会員へと転換する
15. (案)視聴履歴やマイビデオ登録状況から、「あと2日で作品A第1話の無料期間終わっちゃうよ!」とPush通知送っても良いかも知れない
16. 10秒おきに表示されるシークプレビュー。操作時には邪魔しないようコントロールパーツは表示しない。ただ動画は再生したまま操作できる。シンプルに、目的とした箇所に飛びやすい、こだわり抜かれた設計
17. 同シリーズの別回か、全く別の動画レコメンドかはサムネイルのUIで直感的にわかるように
18. 動画が見終わる頃に次の動画を自動再生。受動的に視聴しているユーザーを途切れさせない
19. 無課金の場合は、プレミアム動画はグレーアウトし閲覧できないことを直感的に伝える
リニア視聴と通知によるリテンション設計
20. 能動的に探すだけでなく、リニア視聴中にもCMによる「別の動画の訴求」により、受動的に次に見る動画を見つける手助けを行う
21. テレビを彷彿とさせる番組表UI。ジャンル別にサムネイル付きであるので新聞の番組表より100倍見やすい。見たかった番組を見逃させない
22. タップできそうだと分かる&通知感のあるアイコン。(ABEMAのアイコンはどれもすごく分かりやすく個別UIではなく全体最適で設計されているのがすごく伝わる...!)
追っかけ再生と課金導線
23. 通知予約をしても、必ずしも時間通りに見れるわけではない。そのときに「追っかけ再生機能」を使い、最初から閲覧→1.5倍速で追いつける(かも)。 女子高生にとっては今日のオオカミくんの話を明日学校で話すのは死活問題だったりするのかな。
24. 無課金時に追っかけ再生をタップすると、課金導線Viewが表示。もちろん動画は再生したまま。ここ以外にもダウンロード機能や、過去オンデマンドなど、課金導線は幅広く設置されており、どれもなめらかに誘導される。横画面で視聴していても課金動線は表示される
25. メリットがシンプルに伝えられている。世界一分かりやすい課金導線ページ。
勝手な予想ですが、AWAも同時に使える1,200円ぐらいのプラン出してきそう。YoutubeはYoutube Musicと併用利用しているとPremiumの解約率下がるといった記事を見た記憶がある..もしくは + タップル無料プランとか。
閲覧可能デバイスの拡大とPR戦略
26. 2016/10にAmazon Fire TV対応、2017/11 Alexaに対応、またVRにも対応したり、テレビリモコンに設置されたり。デバイスの拡大とそれに伴うPR戦略によって、プロダクト開発や改善を積極的に実施しているんだという話題作りが事業を加速させる。(参考)
若年層だけでなく幅広いユーザー層を拡大するにはやはりデバイスの拡大は必須。ABEMAを大画面で見る体験がエンゲージメントを上げる(参考)
SNSを活用したバイラル施策
27. 閲覧している動画のコメントを簡単にTwitterやInstagramでシェアできるように。それを見た他のユーザーが気になって流入
28. 主にはTwitterを活用して、ネット上で話題が生まれるようなコンテンツ設計やSNSのブランディング。例えば、大人気「オオカミくんシリーズ」はキャストの1人に“絶対に恋愛をしない嘘つき”を忍ばせている。SNS上で“オオカミは誰か”と考察が生まれ、感想を思わずつぶやきたくなること。そしてその話題を中心に議論が巻き起こる。直近の放送日には毎回1万件近くツイートされる
SNSで動画を見せてアプリへ誘導
29. TwitterやInstagram, Youtubeを活用して動画のダイジェストを見せたり、1話のみ無料で見せるなど。それぞれのSNSの特性に合わせて編集→誘導がすごく効いている。(参考はこちら)
30. また「72時間ホンネテレビ」のような大型コンテンツ配信時には、YouTubeでのリアルタイム同時配信も行い、万が一ABEMAで視聴できなくてもYouTubeで視聴できるようにしていた。
まとめ
番組通知やSNS活用のバイラル施策、デバイス拡大などから、テレビをインターネットに置き換えるリニア視聴としてグロースしてきたABEMA。
初期フェーズを超えて拡大するに伴い、オンデマンド視聴の割合が増えてきました。
それゆえ、オンデマンド視聴をより使いやすくする一定期間無料の機能や、他の動画を探しやすくする回遊設計( + そのレコメンド)。
ABEMAのPRを追っていくと、初期にリニア→著名人活用のバラエティ→恋愛リアリティー→記者会見などの特番や大型企画→ドラマなどのパッケージ化、と競合とのポジショニングや市場のニーズを踏まえてプロダクトの戦略を進めてきているように思います。(参考)
またパッケージの中でも正直課金力の弱い中高生向けのコンテンツだけでなく、20~30代向けのコンテンツにも力を入れてます(直近の田中みな実起用とかはそんな気がします)
正直、この手の動画サービスは、コンテンツ力が鍵。Netflix、Amazon Prime、Youtubeなどを見ようと思うとき、どのコンテンツを見ようかな→sれを見れるプラットフォーム選択になると思っています。
なのでABEMAも中高生だけでない層へ刺さるコンテンツ作成が超重要。
だが、Youtubeが2016年だけで「視聴時間を0.2%でも伸ばせる改善」を150件近く積み上げたように、コンテンツ以外のプロダクト強化は絶対に、中長期的に効いてくる。と思っています。(もちろんこれまでの実績もその力大きい)
テレビ=無料、というイメージを取っ払うため、名称からTVを取り、
テレビをインターネットに代替するだけでなく、全く新しいイノベーションを起こそうとするABEMA引き続き楽しみです!
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