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初の海外一人旅「中国軟禁事件」~勃発編~

※この文章は特定の国や機関を揶揄するものではありません。

いざ関西空港より出発

大学3年生、夏。関西国際空港。
人生で初めての海外一人旅。
緊張はあまりなかった。
胸が昂るような高揚感なども意外と感じてはいなかった。

これまで何度か海外に行ったことがあるからだろうか。それともただ実感が湧いていなかったからだろうか。
そんな中刻々と搭乗の時間は迫ってくる。

間もなく、自分はトルコへ向かう。
乗り継ぎは北京だ。

淡々と飛行機へ乗り込んだ。
飛行機に乗り込み、自分がこれから海外へ行くということが現実味を帯び、ようやく胸が高鳴ると同時にこれから人生初の海外一人旅が始まるんだなあ、とどこか他人事のようにも感じていた。

そして間もなく飛行機は飛んだ。
いつも通り丁寧に、豪快に、トラブルなく飛んだ。
こんな大きい物体が空高く飛ぶなんて今でも信じられないと思う程だが、そんな疑いを全く意に介さず、飛行機はぐんぐんと速度を上げ飛んでゆく。人間の文明の高度さに圧倒されることがたまにある。

空からの景色
中国南方航空: 機内食

程なくして機内食が提供された。
機体は「中国南方航空」という航空会社のものだったが、そばつゆが出てくる程度には日本食だった。

異変

1時間少し経った頃だった。
タッチパネルに表示される飛行機の経路表示に違和感を覚えた。

…ん?

…北京(Beijing)が目的地であるのに、飛行機の向きがおかしい。
こんなことあるのか?

だが特に機内アナウンスなどもなかったため普通にしていた。
しかしやはり妙だ。そのまま飛行機が北京と異なる方向に進んでゆく。
…どうなってんの?
だがやはりアナウンスはない。
とりあえず乗っておくこと以外は勿論できないので大人しくしていた。

…1時間後。
飛行機が高度を落としてゆく。

…は?

何のアナウンスもないまま飛行機が着陸した。
表示は「Jinan」、北京ではない。

????
何が起こっているのか理解できなかった。
「…北京じゃない場所に、着陸した、、?」

そこから程なくしてようやくアナウンスがあった。
「悪天候のため北京に着陸できない。待機するために別の空港に着陸した」とのことだった。
海外一人旅開始後2時間、ハプニング発生。
だがどうしようもないので暇を潰しながら大人しく座っていた。

1時間経過。
2時間経過。
音沙汰はない。
状況をCAに聞いたが天候が変わらず管制塔から指示の連絡もないため動けない、と。

3時間経過。


あたりが暗くなってゆく。
とうとう乗客の一人の白人女性がCAに怒鳴り始めた。
「いつまで待たせる気だ。このまま我々の体調に影響が及んだらどうするんだ。」
勿論CAに責任はない。困った様子だったが激怒した乗客の逆鱗に触れたくもないので傍目で見るしかなかった。

4時間経過。

未だ飛行機の中。

あたりは完全に闇に包まれ真っ暗になった。
もうこの後どうなるのか全く分からない。
トルコ以前に北京に辿り着けるかどうかも分からない。
十分なアナウンスも特にない。

飛行機からの脱出

5時間が経過した。
そして遂に、飛行機から降りるように指示が出た。中国人の乗客のみが先に降ろされた。
そして、外国人が後から集められた。
どうやら、中国のジナンというこの場所で泊まることになったらしい。そしてその為だけにビザが必要だから中国人と分けられたらしい。

外国人のみが集められた。

皆混乱しているようだった。
日本出発だったが、日本人らしき顔はあまり見られない。聞くと、日本に住んでいるトルコ人家族、ロシア人家族、日本人の一人旅おじさんなど様々な人が居た。

しかしここからがまた大変だった。
まさかの空港職員の誰にも英語が通じないのだ。
更に追い討ちをかけるように、ここ中国ではGoogleなど様々なアプリが使えない。
Google翻訳も使えなかった。その為空港職員のスマホ翻訳のみでコミュニケーションをとり、コロナ対策の登録だったり、ビザの書類記入だったりを情報もままならないまま行なった。

時間は午前0時を過ぎていた。
5時間の飛行機内監禁からの2時間の入国作業の末に、大型バスに誘導された。

ホテルへ向かう(はずの)バス。
英語でコミュニケーションが取れず様々な情報があやふやだった。

カオナシのタトゥー

ぞろぞろとバスに乗り込む。
自分は入国審査で少し話した一人のイタリア人の男性の隣に座った。
暗闇を走るバスの中、彼と話した。
普段はニュージーランドに住んでいて、日本での旅を終え、今は故郷イタリアに向かっている途中だという。
日本とイタリアの文化的地理的な類似性だったり、イタリアでの労働文化、何故ニュージーランドへ移住したのかなど様々な話をした。
日本での旅はかなり楽しかったらしい。
アニメなども観るらしく、彼の腕には丁度日本で入れたばかりカオナシのタトゥーがあった。

マジかよ


そうしているうちにバスは1時間ほども走っていた。ホテルにしては空港から離れすぎていないか?と思っていたが程なくバスはホテルへ到着した……。

…ホテルごつくね?


…続く。

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