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占いに行って気付いてしまった話

昨年末の話である。
友人と数年ぶりに占いをして貰いに行った。

というのも、友人は最近占いの中でもある類に興味があって、
それならプロの占い師がどんなものなのか見に行こうと思ったのだ。

天王寺の某商業施設にまあまあ並ぶ占いコーナーがあって、
有名そうだしそこにしようと話がまとまった。
確かに年末ということもあって、まあまあ並んでいた。

しかし占い師というのは、どうやら1つの種類だけで運勢を見るわけでは無いようだ。
幾つもの種類を組み合わせて占う。特に今回のブースがそうだった。
占いコーナーには4人程の占い師が一部屋に収まっていたが、
ドンピシャで見て貰いたい占いをしてくれる人は居なかった。
私たちはその中でも近い占いをしてくれる女性占い師の札を取って並んだ。

因みにこういう時、私は『当たりそうな行列の占い』ではなく『すぐ見てもらえる空いている列』を選んでしまうタイプである。

占いは人生で数回体験したが、
占いとは不思議なもので、言われたことを一瞬にして忘れてしまう。
いや、私だけかもしれない。
響いていないのだ。
以前より占いをしてもらっている時は楽しいが、本質として楽しめていない感じはしていた。
前の占いで言われたことなど、微塵も思い出せない。
なのでいつも新鮮な気持ちで占いに挑んでいる。

別段今悩んでいることも無かった私は、
彼氏との相性でも見てもらおうと思った。
別に恋愛面でも悩んでいないが、
星とか星座とか決まった序列で見てもらう相性はなかなか興味深いと思ったのだ。

占い師は結構お年を召していて、
雑談と占いの境界線が難しい方だった。
最初の挨拶の時点で
「今年は本当に良く無かった。娘はスリに遭うし、主人は死ぬし」
と言われた時は本当にどうしようかと思った。
出会って1分でする話では無い。
こういう時大人は差し支えのない返事を知っているので、
大人で良かったと思った。

ところでこの占い師はハッキリ言い切ることもあるのだが、
どうにもこちらに誘導させている部分もあり、そこが少し疑わしかった。

占「彼氏はスポーツとか好きなの?」
私「いえ、音楽をよくやります」
占「うんうん、音楽の星が出ていますよ〜」

こんな調子である。
あんまり当たらないな、と思い話半分で聞いてしまった。

私の順番と友人の順番が終わり、
商業施設をふらつきながら、私は友人に
「あまり当たらなかったね」と言った。

「え、そう?結構当たってたかも」

友人の予想外の返事に驚いた。
「当たらなかったね、えへへ」
と言い合うのが占いの楽しみ方だと思っていたからだ。

「○○と○○の部分は当たらなかったけど、他は結構当たってた」

友人の清い心に思わず倒れ込んでしまうところだった。
占いの本当の楽しみ方は、こっちだ!

捻くれまくっている私は心の中で
「占いなんて当たらないか、差し支えのないことしか言わないかの2択だ」と思い込んでいたので、
当たらなかった部分ばかりfutureしてしまい、
そんなことばかり考えているから内容もあまり覚えられないのだ。
というか私は初対面で心を開けるタイプでも無い。
ハナから疑ってかかる奴が占いなんて楽しめるか。

確かにあの占い師は当てはまらない可能性がある内容もズバッと言い当てていたし、だからこそ外れることがあるのだ。
100%当たる筈がない。
だって相手はエスパーではない。
生年月日とか星とか、自分なりの理屈があって話している占い師なのだ。

友人は言われた内容をよく覚えていた。
当たっている部分と当たっていない部分と、両方を受け止めて聞いているからだ。

私は慌てて彼氏にもLINEをした。
彼氏について言われたことを思い出せるだけ箇条書きにして送ってみると
「すごい!当たってる!これ占いでこんなに分かるの?」
と、彼氏はとても喜んでいた。

占いの本質に気付いてしまった。
占いで分かるのは人の心の清らかさである。

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