シロとクロ

私は知ってるの。
夢のことならなんでも知ってる。

今日も怖い夢を見たでしょう？
見たことのない化け物に
追いかけられる夢だったでしょう？

私は知っているの。
夢のことなら知ってるの。

その夢から覚めたとき、
心臓はドキドキしてるでしょうか？
案外何とも無いのでしょうか？

私には何もわからないの。
目が覚めた瞬間、分からなくなってしまうのよ。

ところで気付いていましたか？

私を捨ててから、
嫌な夢ばかり見るでしょう。

きっとそんな変化にも
気付いてないとは思うけど。

それは全部、私が食べていたのです。
驚いたでしょう？
なんて、聞こえてるはずも無いけれど。

私はまだ、貴方と同じ夢を見る。
捨てられた貴方への
想いがココに残ってる限り、
貴方と同じ夢を見るのです。

貴方の夢は、もう食べられない。

私はもう、
その夢にうなされながら
朝を迎えるしか無いのです。