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友達が欲しい

友達が欲しい。

友達が居ないわけでは無い。
ただ社会人になって、新しく出来た知り合いが
会社という1つのコミュニティ内にしか無いことに
うっすらと危機を感じているのだ。

私が今欲しているのはしょうもない話をつらつらと並べるだけの
意味もなく大衆居酒屋に入れるような
勢いだけで一緒に銭湯に行けるような
そういうしみったれた友達である。
そういう友達を作ることが、なんとも難しいことだろうか。

『友達は お金で買えない 価値がある』

プライスレス川柳があるとすれば、
私は紙に一筆認めて投票箱に入れるところである。

ただ私は知っている。
この世には2種類の人間がいて、
『生涯友達が増え続ける人間』と『ある時期以上増えない人間』がいるのだ。

私は紛れもなく、後者である。
これはコミュニケーション能力云々だけではなく、
運やタイミングその他諸々が重なっているのだ。

私の身近にいる前者の人間は、
フラッと立ち寄ったバーや、本来恋人を作る為の街コンに行って
友達を作って帰って来たりする。
そういう人は面白いエピソードも持っていたりして心底羨ましい訳だが、
きっと後者の私がそんなことをしたところで
何か怪しい物を売られたりするのがオチなのだろう。

友達とは難しいもので、
「友達が欲しい人!集合してくだーい」と言って集まったところで
友達が得られる保証は無い。
もしその場で関係性が成立しても、長く続く信頼関係に繋げることは容易では無いだろう。

風の噂で、社会人サークルというものを聞いたことがある。
友達を作りたい且つ同じ趣味や興味のある人が集うコミュニティなので、
必然的に仲を深めやすいという。
私は目を輝かせた。
その集いが噂でも幻でも無いのだとすれば、
友達を作る絶好の近道では無いかと。



私は阿呆なので調べるまで気付かなかったのだが、
ここには大きな落とし穴があった。

社会人はどうやら、土日休みがメジャーらしく、
主な活動日が土日であった。
私たちのように平日休みの人間は、参加権利以前の段階でふるいにかけられていたのだ。

友達を作るにはまず転職からである。
実にハードルが高い問題になってきた。

ところで私は先ほど
「友達はお金で買えないのだ!ビバ!プライスレス!」と豪語していたが、
お金を掛けるという裏道はある。
例えば習い事だったり、
一部の出会い系アプリだったり、
(いうなれば社会人サークルもこちらかもしれない)
寧ろ私たちの友達作りは、もはやこちらの方が主流になっているかもしれない。
はてはて、友達って、こんなに作るのが難しかったっけ?

どうやら私たち人間の距離感が、
段々と友達作りを大変なものにしているらしい。

人間と人間の間には、距離感というものがある。
いわばパーソナルスペースである。
たまたまその場にいるから話しかけてみる、なんて気軽な会話も出来ない世の中。
私たちはお互いに、ジリジリと歩み寄って様子を伺いながら、
手の届く距離まで近づいて初めて握手をする。
だから必然的に、同じ時間を共有する必要があるのだ。

学校のように、同じ年齢で対等な(であるのが望ましい)立場の人間が
何十人と集う場所など、もうどこにも無い。
そんなことをしなくても、上手くやっていけるでしょ?と
大人は随分高いハードルを引き合いに出され、
突然社会に放り込まれる。
私たちは弾き出されたまま、一人で空中を彷徨い続けるしか無いのだ。

友達が欲しい。
オモチャが欲しい子どものように駄々をこねることも出来ないけれど、
ただただ抽象的に「あの頃のような」友達が欲しいと幻想を抱いているのである。




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