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木ノ実 ひよこ
2020年7月2日 00:36
♢その日はずっと雨が降っていた。漸く1日が終わって静かになった頃、遠くの方から不穏な音が鼓膜に響いた。低く、世界に不安を掻き立てるようなゴロゴロである。由香里は枕元の目覚まし時計をセットしているところだった。「雷?」海斗は由香里の顔色が変わったことに気が付いて、窓を開けて様子を伺った。音の小ささからして距離は随分遠いようだが、このまま近付いてくるのは間違いない。