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自分とはるの力を信じてみたいって。

このひより
 「出産は、楽しかったですよ」

おおらかな笑顔でそう話してくれたのは、1歳になるお子さんのママ、美羽さん。子どもを産むのって、すっごく痛くて……そんなフレーズを想像していただけに、彼女の口から出た言葉は少し意外でした。

美羽さんにとっての「大切な日」は、2019年4月3日。最愛の息子、はるくんが生まれた日。

出産の痛みを超える喜びがつまった日のことを、美羽さんははるくんを優しく撫でながら、ゆっくりと語ってくれました。

(聞き手・執筆/染谷楓 編集/ウィルソン麻菜

お腹に宿ってくれるまで

名前は「はるひろ」、はるくんです。

ちゃんと顔を見てから名前を決めたいなって思って、生まれてから名前を考えました。生まれるまで性別も聞かなかったんですよ。
子どもって、望めばすぐに来てくれるのかと思っていたけど、なかなかそうはいかなかったんです。私は、保育士を辞めたあとに「今しかできないことをしたい」と思って、夢だったパン屋で働いていたんです。子どもができたらやめよう、と思いながら。慣れてきて、そろそろかなーと思ってから、授かるまでに11ヶ月かかりました。

その頃は、生理が来ては泣いて。1年超えたら検査をしようかって話もしたんですけど、旦那さんが「検査してどっちかのせいになるのも嫌だから、俺は検査しなくていいと思う」って言ったんですよね。そうなると、じゃあいつでもいいかって。私も旦那さんもお酒が好きだったので「今月生理がきたなら、それもお祝いしようか」って。

妊娠は、台湾でわかりました。

旦那さんと台湾旅行に行ったんですけど、出発前にそういえば生理来てないなって思って。で、念のため検査薬を持っていったんです。旅行2日目の朝に検査したら、陽性の反応が出ました。その日に新幹線の中で旦那さんに発表したら「え、今!?」って言われて(笑)。

台湾から帰ってきて、あらためて一緒に病院にいきました。スタートがそんな感じだったので、自分たちのところに来てくれるだけで幸せなことだから、性別はどっちでもいいやって。だから、生まれるまで性別は聞きませんでした。

今は、あの時間もはるがくれたのかなーって思っています。自分のやりたいことをやりなさいって。

はじめての出産

予定日は4月21日だったんですけど、はるは2週間早い4月3日に生まれました。

助産院での出産だったので、2日に提携の病院で検査をしたんですね。病院の許可がないと助産院では産めないので。で、許可が出てから急に痛くなって。ただの前駆陣痛なのか本当の陣痛かわからなくて、家で1日耐えていたんです。感覚が10分だったり、5分だったり30分だったり。ソファでずっとうずくまっていて。

助産院に電話したら、旦那さんが帰ってきたら一緒においでって言ってくれて。

じゃあ、痛みの感覚が少ない間に洗濯物取り込んじゃおうって思って立った瞬間にじわっときて。おしるしだったんですよ。

そこから3時間もしないで生まれました。

ソファでうずくまっていた時点で子宮口は9センチも開いていたみたいです。

助産院で破水した時の色がワインレッドっぽくて、もしかしたら胎盤が剥がれ始めた色だったんじゃないかって言われました。危機を感じて早く出て来てくれたんじゃないかって話だったんですよね。

胎盤が剥がれちゃうと、希望の助産院での出産は難しいと言われていたから、早く生まれてくれてよかった。

推定体重は助産院で出産できる2500gをクリアしてくれたし、実際には2350gで生まれてきてくれて。2300g以下だと緊急搬送されて保育器だったらしいんです。その50gが。その後のいろんな検査もギリギリ全部超えていって、「小さいのにえらいね」とスタッフさんにも言われました。今はこんなに大きくなったから、もう大丈夫だね。

『翼をください』を歌いながら

出産は、楽しかったです。そんなに辛い思いじゃないんですよね。もちろん、めちゃくちゃ痛かったですよ。

歌う出産だったんですよ。しっかり腹式呼吸ができるように、先生が歌って自分も一生懸命ついていく感じで。『翼をください』を歌って産みました(笑)。

旦那さんも立ち会いしてくれて。最初は、え〜とか言いながらも助産師さんに「お父さん手伝って!」なんて言われて、ずっと私の支えになってくれていました。和室で出産したんですが、自分の落ち着く体勢で出産できて、旦那さんがずっと私のうしろで椅子代わりみたいになってくれて。立ち会いどころか、すごい距離感でした(笑)。ずっと手も握ってくれていて、心強かったですね。

でもそんな旦那さんも、出産後の様子には少し怖がってました(笑)。「へその緒切る?」って助産師さんに聞かれても「それはちょっと…」で、「胎盤みる?」って聞かれても「いや、無理です」みたいな(笑)。そこは逃げてました。だから、私、自分でへその緒切りましたよ。硬くて、太かったです。

助産院を選んだのは、お母さんが助産院で弟を産んだのを覚えていたっていうのと、なるべく薬に頼らず自然なお産がしたいなっていうのがあって。産める体があるなら、自分とはるの力を信じてみたいって。

私は保育士をしていたけど、わからないことばっかりで。あらためてお母さんたちの凄さを実感しました。私、えらそうなこと言ってたんじゃないかなって。お母さんたちは先輩として見守ってくれているし、自分が見ていた子たちがはるの先輩になって。嬉しいですよね、ありがたいなって思ってます。

はるくんがくれる幸せ

旦那さんは、はるのことを溺愛しています。はるが生まれて男の子ってわかったときに「でかした!」って言ったんですよ(笑)。釣りが趣味なんですけど、一緒に行きたいって。今では私より寝かせるの上手なんじゃないかな。布オムツの交換も洗濯もしてくれています。仕事からも早く帰ってくるし、「食べちゃえるくらい可愛い」って。最近、いないいないばあをすると笑ってくれるんですけど「天使だね」ってずっと言っています。

最近、なんとなく家でテレビを点けなくなって。こうやって鳥の声とか、風の音とか、自然の中で聞こえる音を今のうちに吸収して、いろんなものに触れて欲しいなって。いろんな人に抱っこしてもらって、いろんな人に触れて、いろんな体験をしてほしい。

自分が大変にならない程度に、この子のために今できることはしたいなって思っています。まだ少し先にはなるけど、はるが興味もったものは自分も一生懸命遊んであげたいです。

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