百万年の感激が一瞬に

美の感動について
小泉八雲は深い示唆をしています。
私たちの中には数限りない経験から受け継がれてきた
美の感覚が備わっている。
それは世代を超えた、
膨大な時間の記憶だというのです。
何もしなければ眠ったままだけれど
ある時、電撃的に目覚める時がある。
魂の記憶と、この人生の生命とが
ピタリと重なり合う瞬間です。
その時、
「百万年にもわたる無数の世代の経験が、
この一瞬の感激に凝縮されるのである」
そう八雲は語るのです。
胸を打つほどの感激を
揺さぶられ震えるような感動を
一体どれほど経験できるでしょう。
それは
美を求める心、恋い焦がれる心なくば
目覚めることはなく
一瞬の感激を経験することは
ないのでしょう。