もしもこの世に桜がなかったら
世の中にたえて桜のなかりせば
春の心はのどけからまし
在原業平の和歌です。
もしも世の中に桜がなかったら、
心やすらかにのどかな春を過ごせただろうに・・・
桜ほど無常を感じさせるものはありません。
あるいは業平は儚く散りゆく桜に
我が身を重ね合わせたのかもしれません。
業平ならずとも
我ながらおかしいくらい
春は心を動かされます。
いつ咲くのか、どこで咲き始めたか
待つときめきは開花の喜びに変わり
同時にもう別れを思っている。
花吹雪の美しさ
雪のように散り敷いた花弁
川面に浮かぶ花筏。
こんなに切ないなら
いっそ桜がなかったら。
そう思ったとしても、
桜のない世など
決して生きていかれないと
これもまたわかりきっているのです。
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