見出し画像

17 梅すだれ 肥後の国

猿彦が寺へ通い始めて半年が過ぎた。寺で雲十の読経と説法を聞き、昼間は松之助たちと希望いっぱいに山を切り開き海を埋め立てる生活は、今までにないほどに充実していた。体も細いながらも筋肉が付きがっしりと大人の体型になって来た。目つきも死んだ魚のように虚ろだったのが、水を得た魚のように潤い輝いている。今まで感じたことのない充実感で生きている猿彦であった。

ここから先は

2,519字

¥ 100

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

小説「梅すだれ」を連載中です!皆様の支えで毎日の投稿を続けられています。感謝の気持ちをパワーにして書いております!