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22-3 梅すだれ 肥後の国

紐で魚を結わえることさえうまくできない庄衛門であったが、石でうろこを取り除いたり開いた魚を水で洗って海水に漬けたりと毎日忙しく働いた。そして三年が経ったとき魚の開き方を教わった。腹に切り込みを入れてはらわたを取り除き、背骨に沿って刃を動かして切り開き、頭を割ってえらを取る。やって見せてくれる者は一呼吸の間でやってしまうのだけれど、期待を裏切らず不器用な庄衛門にはもちろんできなかった。腹へ切り込みを入れようとすると腹を切り落としてしまうし、開くはずが身を二つに切り裂いてしまう。

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