23-3 梅すだれ 肥後の国
庄衛門を見るとお菊はいつものように嬉しそうに「上がりなされ」と家に上げた。庄衛門の大好物の湯葉を皿に盛って「食べなされ」と置いたが、この日の庄衛門は手を付けない。いつもなら話をする前、お菊の顔を見るよりも前に食べ始めるというのに。「腹でも壊しなすったと?」と顔色の悪い庄衛門を心配するお菊に、庄衛門は探るように尋ねた。
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