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22 梅すだれ 肥後の国

お菊の村登立のぼりたては北から海が入り込んでいて湿地が多くそれほど作物のとれる土地ではない。お菊が十二歳で奉公へ出ていたのは食い扶持を減らすためだった。それなのに子どもを連れて帰ってきたのだから実家でのお菊は肩身が狭かった。子どもを産んだばかりの姉に「坊ちゃんは育ててやるからお前は奉公へ行け」と言われてもお菊は首を縦には振らず「坊ちゃんはおいが育てると」と息を吹き返した庄衛門を家宝と言わんばかりに大切に育てた。

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