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5 梅すだれ 甲斐の村

一向に立ち直る気配のない駄目幹助とは裏腹に、お千代は精神的に急成長を遂げていった。おもりにとどまらず、クリの着物の刺し子も買って出たのだ。まだまだ針を刺すことに慣れないお千代だったが、赤ん坊の刺し子の定番模様である、麻の葉の模様に挑戦した。すくすく育つ麻に子どもの成長をかけて、どの家でも赤ん坊には麻の葉模様の産着を着せるのだ。

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