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学歴フィルター|偏差値が高い大学への進学と会社・社会での活躍

高校3年の3月、共に受験勉強に励んだ友人が、私に「K大を目指して一緒に浪人しようよ」と言ってくれた。

友人のお誘いはとても嬉しかったが、私は断って現役合格した大学へ進学し、友人は1浪でK大へ入学した。

あの時、一緒に浪人していたら、私の人生は今とは少し別の状況になっていただろうか。今でもふとした瞬間に思い出し考えてしまう。

■出身大学が及ぼす影響

①環境から拡がる人脈

大学はそれぞれ特色のある教育を提供している。

そして、教授および教授についている種々の設備や研究費の影響は大きいと思う。それらを上手に活用可能な学生が集まり、研究機関、企業も引き寄せている。

社会にでてもまた、その人脈から互いに有益な影響を及ぼし合う事もできる。OB,OG会を通して、普段接点のない人と会う事も可能で、それは「シード権」を獲得しているようなものだ。良くも悪くも派閥といったものになるかもしれないが、上手に活用している人は存在する。

②就職における学歴フィルター

理系メインになるかもしれないが、「大学推薦」を募集する企業は多く存在する。それはその企業で活躍している方の出身大学にお願いしていると拝察する。「一定の活躍が期待される」として、特定の大学からの推薦を募り、自由応募を制限しているという見方もできる。

それは、一種の「学歴フィルターでは?」とも思う。

学生にとっては「シード権」を獲得している状態であり、学生、企業双方にとって就職活動簡略化のメリットがあるだろう。

私は、大学推薦を受ける前に「女性だから」といった理由で、とある企業に断られているとはいえ、大学推薦にて1社のみ受け、筆記、面接、と2日程の訪問で約1週間後には内定した。私以外の学生もほぼ同じような状況であった。

■偏差値の高い大学出身者は仕事ができるか?

前述のように出身大学によって築かれる人脈が異なり、就職活動にも影響を及ぼすが、偏差値の高い大学出身者は、会社・社会で活躍ができるだろうか。私の見えている範囲では以下のように感じている。

①問題を解く力

これは確かに、偏差値が高い大学出身者は得意である。

理解力、スピード感、回答の正確さと論理的なアプローチは、概ね偏差値順に並んでいるように見える。

②課題を認識する力

これは、必ずしも偏差値順とはいえないと感じる。

課題を認識する力がある人は、ビジネスに必要な解決すべき課題に敏感に反応して、真の課題を認識しているように思う。

③他者を理解する力

これも、必ずしも偏差値順とはいえないと感じる。

周囲に存在する人たちの家庭環境、生い立ちは様々ではあるが、都心や関西圏出身で、偏差値の高い大学出身者は、名だたる中高一貫校出身者が多い。基本的に能力、環境共に恵まれており、同じような環境で育った学友と過ごしてきたと拝察する。

属人性もあるが、異なる環境を過ごしてきた人たちへの理解を示さない方もいらっしゃり、他者の理解力不足等を強く非難する場合もある。
もちろん、逆の立場からでも、相手の考えを推し測る事が困難であったりする。

ここは、双方、自身の課題を見出し、学習していく能力が必要と思われ、他者への配慮を示すと、いい仕事をしやすくなると思われる。

■浪人はすべきだったか

高校3年の春にだした「NO」の答えは今でも変わらない。

私にはK大に合格できるほどの能力はないと思う。例えスレスレで合格できたとしても(地頭がソコソコでも努力が実る場合)、大学の授業についていくのに必死で、学生生活を楽しむ余裕はなかったかもしれない。

そして、卒業後もK大卒といった学歴はつきまとう。周囲から一定の期待を持った目で見られるし、その期待を裏切れば残念に思われる。

そして現在、「もっと賢かったら、もっと能力が高かったら」と思う場面は多々あるが、自身の能力に応じた進学先で、望んでいた方向性の知識、技術は身に着ける事ができ、適性に応じた仕事を手に入れているので、特に後悔していない。(もちろん、嫌に思う事もある。)

尚、私は自己満足できる程度には、恵まれていると認識している。

■まとめ

学歴フィルターなるものは、少なからず存在し、それはその会社での適性を鑑みていると拝察する。偏差値が高い大学出身者は地頭が良い、もしくは努力ができる能力を有して難関を突破してきたので、一定水準以上の基礎学力が備わっている。

一方、偏差値が高い大学出身者が、必ずしも会社、社会で活躍できるとは限らず、適性に応じた居場所で能力を発揮し、変化や自身の課題に合わせて謙虚に学習していく力が必要と思われる。