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機械の中のアリス

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1:物語の場面をイメージしてAI画像生成 2:ある程度ガチャな画像から物語の続きを発想して自分で執筆 というループで、画像(AI)と構想(自分)とのズレを、あえて物語に取り込みな…
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AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.14

場面.14「もう一人の探し物」 ダイダロスが工具を使う音がまだ微かに聞こえている所で、次の透けてる壁を見つけたアリスはそこを抜けて見えた光景に、またしても既視感を覚えて立ち止まった。完全に同じという訳では無いが、どことなく嵐の後のような雑然とした雰囲気や、湾曲した階段、途切れている道といった特徴が、アリスの記憶をくすぐっていた。 足元の歩きづらさも似た感じで、気をつけて進まなければ、直ぐにつまずくか足が何かに嵌りそうで、アリスは進まずに辺りを観察する事にした。 少しは歩

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.13

場面.13「ダイダロスの翼」 ジャバラのエリアから移動したアリスは、迷路のような高い壁に囲まれた道を一人で彷徨い歩きながら、来たことがあるような気がするという既視感に囚われていた。 天井からは明るい採光があるが、それが照明なのか外光なのか分からない。もしもそこに空があるのだとしても、壁は平滑で高く、よじ登ったりする事は出来そうもないとアリスは思い、時折壁に触れては次の行き先を探りながら歩いていた。 そんな迷路をしばらく行くと、先の方から人の話し声が聞こえてきた。どうやら

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.12

場面.12「楽園」 犬人が示した道を暫く行ったところでアリスは透けてる壁を見つけてそれを潜った。そして出た場所は狭くも広くもなく天井には明り取りがあり、そこから差す光の中央には、アリスの背丈よりは少し高い卵型の何かがあった。 その卵型の何かには機械の蛇のような彫刻があり、それが卵に巻きついて、捉えているのか守っているのか、どちらともつかない様子だったが、天井からの光のせいか厳粛な雰囲気に包まれているとアリスは思った。 少し透けている卵の中で、何かがゆっくりと回転している

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.11

場面.11「リバース」 Mr.ロストハット。そう呼ぶことにしたあの男の顛末がどうであれ、同情しているアリスだったが、挨拶せず名前を聞き忘れた事もあり、呼称を付けてそれに代える事にした。アリスはMr.ロストハットとジャーマネ兄弟が消えて行った方角へは行く気になれず、敢えて反対の道を進んだ。 そして来た時の壁まで戻りそこに手を入れると、そこはまだ透けてる壁だったが、それが元の場所行きではない事は分かっていたし、少し怖いとも思った。時計ウサギに追われた時はただ必死だったし、カフ

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.10

場面.10「迷宮茶会」 大変な事になったと、アリスは新しいエリアに出た所で呆然として立ちすくんでしまった。余計な事を考えたせいで、透けてる壁をくぐるタイミングがズレて、二人と逸れてしまったらしい。妙に暗い場所で、アリスは一人きりだった。「カルテカ、アロノン?」と言ってみても二人の声はいつまでたっても聞こえてこなかった。 その場所から一歩も動かずしばらく待ってみたアリスだったが何の変化もなく、一人で行くしかないと、薄暗い場所をあてどもなく歩き始めた。 かろうじて見える程度

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.9

場面.9「イカロスの翼」 見た目は本の透けてる壁、というか床を抜けると、そこでアリスはすとんと落ちて着地した。大した高さではなかったが、それでもフラついて、転びそうになったアリスを見ていたカルテカが「椅子があったらね」とアロノンに向きを変えて言った。 「あーそういえば」とアロノンはアリスを見ながら「いつだったかカフェテリアでね。カルテカが空見よう、とか言いながらテーブルに乗って仰向けになったんだ。」 それを聞いたアリスが呆れ顔でカルテカを見ると「それでストン」とカルテカ

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.8

場面.8「ナラティクル」 アリスの視界に真っ先に飛び込んできたのは、こちらを見ながら怯えた様子で後退りしていく女性の姿だった。 続いて、辺り一面に浮遊する淡く光る泡のような何かが目に止まり「もしかしてホタル?」とアリスが言うと「ホタルは知らないけど、これは多分ナラティクルだと思う」とアロノンが答えた。実はホタルを見たことがなかったアリスは「私も知らないけど」と言うと、「前は直ぐに分かったけど、今はね」とアロノンが言った。 なるほど、アロノンというかエスカントは、今はライ

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.7

場面.7「カルテカの宝物」 カフェテリアを出て少し歩いたところで、三人は別のエリアに唐突に移動した。前を見ていたアリスは、眼前の光景が突然変わるのを目撃し、驚いて立ち止まってしまったが、カルテカとアロノンは全く動じていなかった。 そんなアリスを見て「あー」とだけ言ったカルテカに「お前やっぱエスカントじゃないな」と茶化すよにニット帽を摘んだアロノンに、今度は「うー」とだけ言って歩いていくカルテカを見ながら、この二人もメタバリアムの何かなんだとアリスは思った。 エスカントと

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.6

場面.6「カフェテリア」 右手にチケットを握り締めたままアリスは目を開いた。すると眼前にはマザーシップが教えてくれたカフェテリアが現れていた。 手前には入口があり、受付らしき人物が一人、こちらに視線を向けて立っている。近づいてチケットを見せると、その人物は物静かな口調で「いらっしゃいませ、アリス様」と言いながら、何やらアリスの応答を待っているような仕草をみせた。 少し戸惑いながら「このチケット、使えますよね」と言うと、「はい、ですがもうひと方、同伴のお連れ様とでなければ

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.5

場面.5「複合現実」 マザーシップは返答した。「承知しました。お話した通り、ザ・ダークについては断片的な情報が多く、不正確である点に注意してください。」 アリスが降り注ぐ光を眺めながら「分かりました。詳細は省いて、推論から可能性の高い歴史を一つだけ、分かりやすく話して下さい。」と言うと、マザーシップの母性的な声が、アリスに丁度いいテンポで語り始めた。 「先ず、ザ・ダークの概要を述べます。 紛争、疫病、飢餓などが、同時多発的にそして連続的に発生し、その過程で、全地球規模で

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.4

場面.4「マザーシップ」 しゃがみ込み前屈して、自分の体を支えている右の掌が、何かサラサラとしたものに触れている事に気付いたアリスは、その場所が薄だいだい色の砂だと分かるまでに時間が必要だった。 微睡むようにたゆたう空気。どこか遠くで誰かと何かを話した気がして、その言葉を思い出そうとした。それは中性的な声。そして、こちらへどうぞと確かに言った。 アリスは全てを思い出し、はっと息を吸い込んで、眼前に広がる一面の砂漠を見た。 しかしよく見ると砂漠にしてはおかしなところがあ

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.3

場面.3「二度目の認証」 装置は透明なカプセルに覆われてその中央部が発光している。それを見たアリスは、ここへ来たときと同じように装置を覗き込めば、それがエンディングの認証になるのだと思う一方で、直感が不安のアラートを鳴らしていた。 すると何かが低く、とてもゆっくりと振動し、それが体の芯にまで届き、まるで自分の体が煮えていくような不快感を覚えた。音は無い。見渡すと何かの装置らしいものが点在している広い書庫のようだが、嫌な圧迫感がある場所だと思えてきた。 これはダメなやつか

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.2

場面.2「奇妙な案内人」 固く閉じていた両目をそっと開きながら、アリスは小声で「ここは?」と言ったが返事はなく、元いた廊下と似たような広さの、しかし何かの機械装置が壁面にむき出しになっているような場所にいる事に気が付いた。 だが匂いも音も感じない。鮮明な視界とそれとは真逆の無感覚。ここは来たことが無い場所だとアリスは思った。そこで再び「ここは何?」と発話したが、やはり返事はない。切断してる?ガイアードと繋がってない場所か、それともわざと応えないのか。 コンソリアンが言っ

AI画像で連想SF小説 / 機械の中のアリス.1

場面.1「ようこそアリス」 明るい曇り空の午後。人通りの少ない旧市街で一人、二十一歳になったばかりのアリスは次の予定までの時間を持て余していた。 実物を使ったカリキュラムを受けるために訪れたその地域には馴染みがなく、辺りに何かの資料館があったのを思い出し、ぶらついていると、それは直ぐに見つかった。 古びた外観の建物がその区画には似つかわしくない大きさで、メイン通りを曲がったところに建っていた。 建物の規模とは不釣り合いな狭い入口を見つけてその前に立つと、そこには[本文