5月28日授業ふりかえり

先週の「紹介文」に続いて今週のテーマは「批評文」です。批評とは読んで字のごとく「作品を評価し、理由について論じること」となります。ここでのポイントは「読者は作品について何もしらない前提で書くこと」、すなわち作品を「紹介してから、批評する」ことが重要です。その意味で批評文は紹介文の兄弟みたいな存在だと言えます。「紹介して、自分との関係性を示す」のが紹介文なら、「紹介して、批評する」のが批評文だからです。

その上で批評には大きく分けて印象批評と構造批評があります。この時、読者なら印象批評で良いんですが、クリエイターなら構造批評ができなければいけない……というのが持論です。というのもクリエイターであれば、自分で自分の作品にダメ出しができる必要があります。このとき、自分の中で評価軸が固まっていなければ、建設的なダメ出しができなくなる。だからこそ、クリエイターはさまざまな作品に触れて、審美眼を磨くわけです。

んでもって映画の世界には有名な評価軸として、シド・フィールドの三幕理論があります。詳細については著書ウィキペディアに詳しいので省きますが、やっぱり良くできているんですよね。2時間の映像体験だけでさまざまな物語をわかりやすく描こうとすると、どうやったって構成が似てくるのは避けられない。特にディズニーやピクサーの映画は、三幕構成のお手本です。だからこそ全世界でヒットしているのだと言えます。

ただ三幕構成って、脚本の専門学校であれば、普通どこでも教えると思うんですよ。ポイントは三幕構成をそのまま教えるのではなく、それを使ってどんなふうに授業を組み立てるか、ですよね……。

というわけで本授業では、「走れメロス」の構成を三幕理論で分析したうえで、昔話をベースに三幕構成でリメイクして、プロットを作るという課題に挑戦してもらいました。似たような翻案は昔からディズニーをはじめ、世界中のプロがやっています。実際、昔話の「アラジンと魔法のランプ」と、映画「アラジン」のストーリー展開を比較してみると、どこがどのように翻案されているのかがわかって、勉強になると思います。

ちなみに個人的には「桃太郎」がわかりやすくていいかなと思ったんですが、学生の課題をチェックしてみたところ、「シンデレラ」「浦島太郎」「舌切り雀」「ヘンゼルとグレーテル」などさまざまで、「桃太郎」は一人もいませんでした。ちょっと残念だったので、スライドの後ろに例としてあげておきました。はたして、学生はどんなリメイクをしてくるのでしょうか? ちょっと楽しみです。





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