5月14日授業ふりかえり

だんだんと授業中に文章を書く時間が増えている本講座です。前回は「主張文」というテーマを掲げて、自由に「自分の主張」を書いてもらいました。そこでわかったのは、「みんな、意外と書けるやん!」ということ。専門学校でシナリオを学ぼうというだけあって、みな普通に日本語の文章が書けていました。これ、皮肉じゃなくて、本当に驚いています。実際、学生レベルだと誤字脱字・助詞の間違い、段落が作れないなどが一般的なんですよね。

また、主張文を構成する3つの要素のうち、「主張」「理由」「事実」の論理的整合性がキチンととれている文章が多かったのも収穫でした。ただ、残念ながら「事実」のパートが具体的でないものが多かったように感じられました。「子どもの自殺者が年々増えている」とかの言い回しが好例です。これが「18歳以下の自殺者は2018年で***人になり、過去*年間で最高になった」などと、数字が加わるとぐっと説得力が増すのは明らかでしょう。

こんなふうに、文章を書くときに一手間かけて下調べができるか否かが、プロとアマのライターをわけるポイントではないでしょうか。実際、沢木耕太郎もエッセイ集「勉強はそれからだ」で、「ただの象は空を飛ばないが、四千二百五十七頭の象は空を飛ぶかもしれない……。」と書いていて、読むと勉強になります。これに限らずライター入門者・初心者にとって良い話が満載なので、古本で読まれると良いのではないでしょうか。

後半では前回やった問題発見ワークショップをさらに深掘りして、新聞の悩み相談ワークショップを行いました。前回参考にしたのは、デザイン思考の古典的名著ともいえる「ライト、ついてますか~問題発見の人間学」でしたが、今回参考にしたのは「悩みのるつぼ~朝日新聞の人生相談より~」です。岡田斗司夫が毎回どのような思考プロセスを経て悩み相談を行っているのかが明快に記されていて、学生にも有用だと感じ、使ってみました。

ちなみにワークショップシートを見るとわかるとおり、演習では「マンションを追い出されます」と「父親が大嫌いです」の2つを取り上げました。前者はこんがらがった問題を一つずつ切り分けて優先順位をつけること。後者は相談文を読み込んで、その背後にある(相談者が気づいていない)問題を発見するのに最適だと考えたからです。世代が近いこともあり、特に女子の学生は後者の相談に共感を覚えていたようです。

また、こんなふうに悩み相談を読み込む演習は、学生の小説・シナリオ執筆にも「魅力的なキャラクターを作る」という点で有効ではないかなと考えています。悩み相談を読んでいると、人間っていろいろだよなーと感じられますよね。というわけでライターの勉強にもなる、小説やシナリオの勉強にもなる、これぞ一石二鳥と自画自賛しているところです。皆さんもよろしければワークショップシートをダウンロードして、挑戦してみてください。


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