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夕食前の宿のベランダ

8月も下旬となれば夜には生温い風が吹く。
海により加湿された空気は、宿泊客を包み込む。私はその1人だ。

地平線にある強く白い光の粒たちは、何カラットのダイヤモンドか。それが何粒もあることが、この海の豊かさを物語っているようだ。

日没後も、まだ暗くはない。曇り空の向こうにあるはずの夕陽に気持ちを馳せる。

夜はこれからだ。昼間に蓄積した脚の疲労も、温泉水に流されて、この海に葬られることだろう。
だからか。さっきの温泉のしょっぱさは、汗の味なのかもしれない。


そんなことをベランダで思った、宿の夕食前。


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