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学校嫌いで何が悪い

新しいドラマが続々と始まっている。
その中の一つである『最高の教師』の第一話では、学校におけるいじめが題材となっていた。
 
私自身、いじめられた経験は無いが、
学校という場所や学生という立場が、
当時から、心底嫌だった。

そのことを、ドラマを観て思い出した。

 
教室のあの閉鎖的な感じ。

暗さと淀みの中で、
明るくあることを強いられる空気、もはや圧。

馬鹿の声こそ大きく響くから、
こういう場では天動説が正義になるんだろうなと思っていた。

机同士の距離が近くて、
嫌でも他人が近かった。

他人と自分の境界線なんて無くて、
メルロ=ポンティの言うように、私たちはまさに大きな肉の塊だった。

その中で、自分の心の中で小さく聴こえる悲鳴の鋭さに、「あぁ、私は学校が嫌なんだ」ということを思い知らされていた。


それでも明日は来るから、
そして通学が欠席の二択しか無いから、
学校には通い続けた。


 
私は小学4年生の頃から希死念慮があった。


前に述べたような、
学校の息苦しさはもとより、
そんな環境下において、常に求められ続けることがしんどかったからだ。

何を求められていたのか、
それは一言で言えば「更新し続けること」に対してなんだと思う。


覚えなければ人生が終わってしまう、
良い点数を取らなければこの場所に置いていかれてしまう、
そんな強迫観念に駆られながら試験を受けていた。
それと共に、求められる度に今の自分じゃダメなのだと解釈した。


なんというか、学生時代って、
“試験”が多すぎませんか?


精査され続けて、ふるいにかけられることが多過ぎませんか?


しんどい割に、選択肢が少な過ぎませんか?
 


学生は親の監護下に置かれているからこそ、
自由、いわゆる選択肢は無い。

自分の経済力さえあれば、
自分で選べるものを、
それを親に依存しているから、
選択肢は限られてしまう。

自社の株の100%を特定の株主が持っているようなことだ。

ましてや自分の芯みたいなものがまだ脆弱である為、そういった環境で正常な精神を保には他者の存在が大きいように思う。

それは、例えば家族であったり友達であったりするのだろうけど、
何とも他者に依存している状態だと思う。

だから、行き詰まったときに、あたかも「死ぬ」という選択肢しかないと感じてしまうのではないだろうか。
 




大学4年の9月。
内定の通知が家に届いたとき、
私は人生における“試験地獄”から自由になったと思った。

もう追われなくてもいいんだという、
人生を賭けた鬼ごっこからの離脱。
 


そんな私でも、大学は教育学部に通っていた。

義務教育の下で全子どもが学校に強制的に通わされるなかで、きっと学校が嫌という私みたいな子もいるだろうから、一人くらい学校嫌いな先生が居てもいいんじゃないかと思ったからだ。

子どもが接する大人は、基本的にはあまりにも家族か先生だけ過ぎる。

だから、私みたいなのが身近な大人として存在することで、
嫌だけど通っているという子のせめてもの支えになれるのでは、という想いがあった。


そんな具体的なような、抽象的なような目的があったにも関わらず、その道を選ばなかったのは、
選んだら自分の精神がおかしくなるかもしれないと思ったからだ。


あんなに学校嫌いなのに、
嫌いな場所に半永久的になおも通い続けなければいけないというのは、
自分的に酷なことのように思ったからだ。
 



それにしても、学校の問題がテーマのドラマや映画等の作品がこれだけ作られていて、
いじめに関してはニュースや社会問題にもなっているにも関わらず、
学校現場に全く改善の為のメスが入っていないのはどういうことかと思う。


長時間労働に対しては、
働き方改革だとか言って、
ホワイト企業では有給消化が求められ始めている。

育休に関しても、
男性が積極的に取っていくことが国をあげて求められ始めている。

賃上げだって求められている。

それらは全て事件の再発防止であったり、国民の実情や海外の流れを汲んだものだとして、
どうして学校に関してはノータッチなのだろうかと呆れてしまう。


教師の労働環境や労働条件には一般の会社以上にもっとメスが入っていいいだろうし、
学校の在り方に関しても議論されたり変えようとする力が働いてもいいのではないかと思う。


今は、子どもの数も減っていて、
大箱みたいな部屋に押し詰めて管理するのはもう時代錯誤なのではないかとすら素人ながら思ってしまう。

私は教師ではないし、政治家でもないから、
こんなことを言う資格無いのかもしれないが、実際に子どもだったことはあるから分かる。



そんな、学校嫌いな大人の話。 
 

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