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田舎暮らし実践録③「すごく暮らしやすいですよ。僕は、ね」

「田舎暮らしはどうですか?」

僕はカフェの店主をしているが、市外から来られた方によくこういった質問をいただく。

今月で移住してちょうど一年。

一年暮らしているということは、ある程度いいのかな?と当たりをつけての質問だろう。

でも、どこかネガティブな響きがある。

ように僕には思えてしまう。

つまり、「田舎暮らしはどうですか?(大丈夫ですか?)」という具合だ。

ネガティブ、というより心配といったほうが感情としては近いかもしれない。

あるいは、質問する方も少し田舎暮らしに興味があるので気になっているものの、本当に大丈夫なんだろうか、という確認の意味もありそうだ。

そんな方の顔色や声のトーンに合わせて、「僕はすごく暮らしやすいですよ」と答えている。

僕は、ね。

という前提条件付きで、保険をかけるような言い方をしているのは、相手への配慮。

聞いてたんと違う、となっても具合が悪いので。

いや、これは言質を取られることへのリスクヘッジだな。

すみません、完全にリスクヘッジです。

とはいえ本心では、超絶おすすめですと声高に言いたいところ。

だが、やっぱり人によるというのも事実。

ここ一年(千葉の房総に住んでいる時も数えると田舎暮らしは三年になる)、質問をいただいてきて思う。

田舎暮らしのネックになるのは、"不便さ" と "何も無さ" だろう、と。

その二つはほぼ同じなのでは?という声が聞こえてきそうだ。

ベン図でいうと、完全に重なってしまっている。

MECE警察に捕まるぞ。

(MECE警察って何だ。)

とはいえ、僕の中ではこの2つは結構違うので、この中にMECE警察の方がいたら見逃してもらいたい。

不便さと何も無さについては、こちらをご参照いただきたい。

この二つの記事。

「田舎暮らしって不便じゃないよ」

「田舎って何も無いようで何でもあるよ」

と言っているのでなく、田舎暮らしって不便だし、何も無いです。

完全敗北。

白旗をぶんぶん振って、「参りました、降参です」と叫びたい。

でも、それでいいんじゃないの?という視点を伝えられたら良いなと思っている。

かっこよく言うなら、足るを知る生き方。

かっこつけずに言うなら、陰キャ的ライフスタイル。

飲み会苦手でもええやん。

キラキラしごできサラリーマンじゃなくてもええやん。

遊ぶ友達いなくてもええやん。

仕事が終わったら、海に夕日を見に行き、家に帰って魚介の干物を肴に一人晩酌する。

眠くなったら寝て、日が昇ったら起きる。

僕は常々、飼っている猫を見ては動物に戻りたいと思っている。

正確には、動物の一種としてのヒトらしい生き方をしたいと言ったほうがいいかもしれない。

自然や四季、天気や時間、旬のものを感じながら生きたい。

互いに助け合える人間関係、心の通ったコミュニケーションを築きたい。

その営みが陰キャ的ライフスタイルであり、田舎だからこその生き方なのである。

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