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田舎暮らし実践録②「こんな何もないとこによく来たね」
「こんななんもないところに、なんで移住してきたの?」
と地元のおばあちゃんに尋ねられることがある。
おばあちゃんに尋ねられることがある。
大事なことなので二回言いました。
何もないと言っているのは僕ではなく、地元のおばあちゃんだということは協調しておきたい。
冗談のように言っているが、本当に僕は糸魚川には何もないと思っていない。
むしろ、地元の方から尋ねられて驚くくらいだ。
「海も山も川もあって、飯がうまい。その上、普通にスーパーやコンビニあるし、なにこの暮らしやすいところ!」
と思っていたから、地元の人がそのように認識しているのが不思議である。
そして、たぶんこれは地元の人だけでなく、世間一般の感覚かなと思う。
東京に住んでいた頃の僕も、同じように何もないと思っただろう。
ただ実際は、文字通りの何もないというわけではない。
当たり前だが、生活インフラは普通にある。
アパートもあるし、先述のようにスーパーやコンビニもある。
海も山も川もある。
レストランもカフェもあり、居酒屋だってある。
畑や田んぼがあり、公園がある。
ガソリンスタンドもあれば、カーショップだってある。
「そういうことが言いたいのではない」
という都会人の声が聞こえてきそうだ。
わかってる。
僕だって元都会人なので、"何もない" というのが文字通りの何もないではないことくらいわかる。
「何もない」
と言うとき、だいたいそれはエンタメを指すと僕は理解している。
レジャー施設だったり、ショッピングモールだったり、外食だったり。
そういったものだとしたら、確かに糸魚川にはほとんどない。
全くないと言っても過言ではない。
ではなぜ僕が何もないと思わないか。
「何もない?いや、スーパーだってコンビニだってある。何もないわけじゃない」
と屁理屈を捏ねたり、揚げ足を取ったりするつもりは毛頭ない。
そうではなく、都会的エンタメへの興味が薄いということだ。
みんなでカラオケやボーリングで盛り上がったり、ダーツバーで朝まで飲んだり、ゲーセンに行ったり、あるいは仕事仲間と飲み会をしたり。
そういったことを楽しめないのである。
早い話、陰キャなのである。
そして、「僕は多くの人とは違って群れたりするのが苦手なのさ」と、斜に構えるつもりもない。
むしろ、今の時代、こういったタイプはマジョリティなのではないかとさえ思う。
だからこそ、陰キャたる僕の陰キャ田舎暮らしを多くの人に知ってもらいたいと思ってこれを書いている。
夕日の沈む日本海を眺めたり、魚介の干物を肴に一人晩酌をしたり、ローカル線に揺られながら読書をしたり。
こういった素晴らしき陰キャライフスタイルを熱く語りたいのである。
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