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由布院御三家の御宿。

初めての由布院。
6月は旅には比較的リーズナブルなシーズンで
また、一生の思い出になる旅をしたいとの想いがあったので
今回私は思い切って御三家のお宿のひとつに宿泊致した。


チェックインをし
お部屋に通して頂く。

こちらの御宿の場合
1人客は本館に宿泊させて頂けるが

二日前の事であるよ。
御宿からお電話を頂き

直前にキャンセルが出たため
離れのお部屋をご用意させて頂いてもよろしいでしょうか

と、まさかのご提案を頂き
離れに宿泊する事など一生無いと思うので(笑)
有難くアップグレードさせて頂いた。
アップグレードにエキストラフィーはかからなかった。
何というおもてなし・・。

和室と洋室を選べたが
ここのお宿なら洋室が素敵だと思うが
純和室に泊まる機会が中々ないのと
内湯が大きいという言葉に惹かれて
和室を選んだ。


和室。
ここで問題発生。

・・和室でのくつろぎ方を忘れてしまった・・。
緊張というより
この空間で
どうしてよいかわからなくなってしまった。

畏まった場での和室は
最近も何度も経験しているが
くつろぎの場としての和室は久しぶり過ぎる。
そんな事にこの時になって気付いた。

所在なさげにオロオロしているのもどうかと思い
大浴場に向かう。

かぽーん。
貸切状態だった。
そうだよね、ここの御宿であれば
内湯の方がくつろげるであろう。

でも、良い湯でございました。
九州の温泉が本当に好きかも。

出る時に、お客さんがお一方入っていらっしゃった。

こんにちは
と、お声をかけて頂いた。

私も
こんにちは
と挨拶申し上げる。


1人温泉旅行が大好きでして
今までもそんなに沢山ではないけど
あちこちに宿泊させて頂いたが

その中で、とある法則を見出した。

最近はフォーリナーの宿泊も多いから
言語の問題などもあり、一概には言えないかもしれないが

御宿のグレード、というか
「格式」が高いところ程
大浴場では
宿泊客同士で「こんにちは」「こんばんは」
「おはようございます」と
一言挨拶を交わす確率が高い事に気付いた。

最近の温泉旅館は
ブームな事もあって
ハイクラス=格式が高い
とは限らない。

断るが、格式が高いから良いとか悪いとか
そういう視点では述べてないので悪しからず。

各温泉旅館のターゲット層があるから
そもそも良し悪しで述べる事ではない。

ただ、私自身は
人嫌い・人に酷く臆病な癖に
挨拶は大切、と思っているので

もし、他のゲストの方と
目があったり、顔を合わせたりしたら
挨拶差し上げるようにしているし
お客さんから、ご挨拶を頂けると嬉しい。

まぁ、そういう人間で
自分はありたいと思う。

入浴後
相も変わらず
和室でどう身を処せばよいか分からなく
畳の感触や匂いを味わったり
折角の一人旅なのに、親に電話する有様・・。
ダメ子である。

夕食の時間です。
懐石の食事をつけなかったので
(二晩続けて懐石料理はしんどいな、と思ったので)
御宿の地の食物をふんだんに使ったレストランで
季節の野菜とすき焼きを頂いた。

ほっぺた落ちる程に美味しかった!!
お肉は上品かつ野生の濃い味がしたし
野菜の味が濃い!!
歯応えも凄く良く
こう言ってはだが
お肉もお野菜も「命あったものを頂いた」
と強く実感した。
有難う。
一口一口、大切に頂きました。
ご馳走様でした。

すき焼きの具材って、地方により違いますね。
小松菜と蒟蒻が入っているすき焼きは初体験だった。

私の故郷では(東北)
家庭により違うかもしれないが
結び白滝や、焼き麩が入ってた。

お腹いっぱい。
夜も更けて・・。

いそいそと談話室へ向かう。

蓄音機で音楽が聴けるイベントがあるらしい。

ゆっくりと腰掛け
音楽を愉しむ。

蓄音機の音を聴くのは初体験。
レコードの音は10年以上ぶり。

すごいですよね。
この蓄音機が現役で稼働できているのだから。

蓄音機に頭を突っ込んで聴いてみると
もしかしたら、蓄音機の奥に小人がいて
実際に楽器演奏しているんじゃないか
と思ってしまうくらいに
生音に近い音が鳴る。

レコードも
弦楽器の曲には竹針
ピアノやオーケストラ、オペラ(人の声)には
鉄針
と針を使い分けて聴かせて頂き
何となく使い分けの意図と音の違いが分かった。

やっぱり、デジタルの音とは全然違う。
(デジタルにはデジタルだからこその良さがあると
理解している上で述べている。良し悪しの比較はしていない)

レコードのリストから、リクエスト曲をかけてもらえるが

私は
ドビュッシー
ヴィヴァルディ
ショパン
とリクエストしたが

こうして聴いてみると
クラシックにも自分の趣味というか
自分の音楽の好みって
かなりハッキリしているのだな
と感じた。
クラシックに関しては浅学なので
無自覚だった。

柔らかなクラシックの音色に包まれる
由布院の夜

今、とても芳醇で馥郁とした時間を過ごしているなぁ・・

としみじみと幸せを感じる。
人生で、このような芳味豊かな時間や経験をちょっとずつ重ねていく事が
私にとっては、幸せなんだなぁと
ふっ、と
そんな考えがよぎった。


心がほこほこと温かくなり
部屋に戻り

今度は内湯を楽しむ。

夜の帷が降りた景色を見つつ
大きくて深さのある湯船にゆらゆらと浸かりながら、漸く心身が部屋と空間に馴染んでいくのを感じた。


やわらかな、良い夜だった。

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