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「緊急時のチケット半額返金制」があるとしたら、お客さんの理解を得られるのか? #春は必ず来る

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2月下旬、政府が大規模イベントの中止・縮小要請を行いました。結果、EXILE、Perfumeなどのコンサートが中止を余儀なくされました。

フェスなども続々と中止/延期/無観客ライブ実施を発表せざるを得ない状況となっています。休業するライブハウスも出てきました。筆者が楽しみにしていた3月18日(火)のThe National@Zepp Diver City Tokyo公演も中止となってしまいました。

政府からの自粛要請はあくまでも「要請」であり、中止に伴う損害の補填は現段階では予定されていないようです。また、感染症は被害の規模やリスクが予測できないため、興行保険の対象にもできないようです。このため、とりわけイベントの興行主は甚大な被害を被ることになります。

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画像引用:音楽主義 # 003 コンサート制作[虎の巻]

上記の図は音楽主義から引用した、コンサート制作にかかる費用の例です。会場の規模にもよって変動はありますが、コンサートを実施するためにはこれだけの費用が必要で、コンサートに関わる関係者の数も膨大です。中止となるとこうした方々にギャランティが行き渡らず、とりわけ、フリーランスで活動しているスタッフの方(サポートミュージシャンなど)へのダメージが深刻です。3月に予定していた収入のほとんどを失ってしまった方もいます。

■音楽事務所に直撃する損害

筆者は音楽プロモーションの仕事をしている関係で、クライアントの多くが音楽業界の会社です。今回の自粛要請を受け、実際にライブの中止を決断した音楽事務所もクライアントに含まれます。フェスを中止したクライアントの損害は数十万、ツアー複数公演を中止したクライアントの損害は数千万円だそうです。

仮に興行を中止した場合、会場費を全額支払わなければ行けないケースがほとんどです。延期の場合は支払い時期も後ろ倒しになりますが、会場は1年以上前から押さえなければならない場合が多いため、振替公演が実施できる保証はありません。

事業内容にもよりますが、一般的に音楽事務所は収入の多くをコンサート・グッズ販売に依存している場合が多いです。その収入源を塞がれ、費用ばかりが先に出ていく以上、すでに資金繰りで苦しんでいる事務所が出てきているのではないかと思います。特に、稼ぎ頭になっている著名アーティストのツアーが中止時期と被ってしまった会社のダメージは深刻です。もし興行を自粛しければならない状況が4月以降にも及んだ場合、倒産する会社も出てくるでしょう。そのまま連鎖倒産に至ったら最悪です。

■「緊急時のチケット半額返金制」は成立するのか?

こうした状況を踏まえ、2月末ごろから、持続可能な興行を可能にするためにはどうすれば良いかを考えていました。

結果、一案として、「緊急時のチケット半額返金」が実現できたら興行主の負担が減るのではないかと思いました。

具体的には、「新型コロナウイルスへの対応などで、興行主がやむを得ず興行中止を決断した場合、チケットの払い戻しをチケット代の半額にする。その代わりに、興行主はチケット購入者限定でライブ配信を行うなど、チケット購入者のための代替措置を行う」というものです。

現状、あまりにも興行中止に伴うリスクが興行主に集中しすぎているので、そのリスクの半分をチケット購入者に負担してもらう、という考え方に基づくものです。なお、チケット購入者にとって、コンサートとライブ配信は等価ではないと思いますので、返金の金額としては半額くらいが限度ではないかと思いました。

筆者の仕事はあくまでも音楽プロモーションで、自社でイベントを行った経験はありません。そのため、上記アイディアで収支が合うのか、実現可能性がどの程度あるのかはあまり検討できていません。仮にチケット購入者限定ライブを実施するにあたり、チケット購入者以外の人間がライブ配信を鑑賞できないシステムなどを整備しなければいけませんし、ライブ配信を準備するための費用がどの程度利益率に影響してしまうのかも分かりません。

ただ、もし半額返金が実現できれば、興行主や関係者の負担をいくばくか軽減でき、より興行を持続可能な状況にできるのではないかと思いました。

■お客さんは半額返金に納得できるのか?

このアイディアを仮に実現するとしたら、負担が増えるのはチケット購入者です。ライブ配信が観られるとはいえ、本来は負担する必要のなかった数千円を負担しなければいけません。

このnoteを読んだ方が、一ファンとして、もし自分が参加予定だったコンサートがやむを得ない事情で中止となり、チケットの払い戻し金額が半額になってしまったとしたらどう思うのか。知りたいです。

筆者は普段からチケットを購入してコンサートを観ている音楽ファンですが、同時に音楽業界の方々と仕事をしているため、だいぶ音楽業界寄りな意見を持っていると思います。音楽ファンの立場としては「事情が事情だし、半額くらいだったら負担してもいいかな」と思うのですが、これは純粋な音楽ファンの意見ではないことは認識しています。

「チケ代の半額はキツいけど20%くらいなら負担できる」
「ライブ配信よりも●●の方がいい」
「予定していた興行が実施できない以上、やはり返金は全額が妥当だと思う」

など、さまざまな意見があると思います。

もし良かったら、このnoteを読んでどう思ったのか、Twitterなどで教えていただけると嬉しいです。

半額返金制を実現したいからこのnoteを書いたわけではなく、あくまでも、現行の興行のシステムについて何か考えるきっかけになればと思って書いたので…



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