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アキ・カウリスマキの思い出

私は10代のころ映画が好きで、一日一本は何かを見ようと頑張っていた。


レンタルビデオを借りてきたり、図書館の映像閲覧コーナーを利用したりして沢山の作品に触れ、気に入った作品があれば、監督やプロデューサーの名前をチェックし、同じ人物が関わった関連作品を辿って鑑賞したりしていた。

どんどん深堀りしていき、結果インディーズ映画とかミニシアター系に行き着いた。折しもインディーズが乗りに乗っている時期だった。(サンダンス映画祭などが注目を浴びたころ)

そんな時期に、何を思って観に行ったのかもはや記憶にも無いのだが、
今はもう無い札幌のミニシアター、蠍座に「浮き雲」を見に行った。

アキ・カウリスマキ監督『浮き雲』については、詳細は誰かほかのブログとかレビューサイトなどを見ていただきたい。何しろ観たのが昔過ぎてあんまり内容は覚えていないのだ。
くたびれた老夫婦が出てきて、失業してどうしようってなる話だったと思う。

私はこの映画が好きになった。
アキ・カウリスマキ監督のことも好きになった。
哀愁漂う画面に淡々としたストーリーテリングで、ダイナミックな起承転結は存在しない。ただジワジワくるユーモアに何ともいえない面白味を感じた。何より、画面の色使いに目を奪われた。

フィンランドの監督だからなのかわからないが
色使いが北欧的というか、結構独特だと思うのだ。
全体を覆う曇り空のようなくすみパステルカラーに、ポイント的にぱきっとした赤がどこかに入るのだ。

映画的な表現手法として、何かの隠喩的に色を目立たせているのかもしれない。『浮き雲』の中でもくすみグレーの壁紙をバックに赤いソファーかなんかが置いてあったような気がする。
なんかもうそれがすごい可愛いのだ。

くたびれたおっさんと、おばさんしか出てこない映画で
話も正直地味で、シンプルな味わいの映画なのに、画面の色使いの素敵さに私は心を奪われた。

その後もアキ・カウリスマキ作品をたびたび鑑賞しているが、やっぱり魅力的な色使いに目が行くことが多い。ストーリーももちろん味があって面白いのだが、個人的にあまり内容は覚えていない(おい)。
ストーリー以上に「画面の力」が強くて、強く印象に残っているのだと思う。
カラフルな映像を創る映画監督は他にも沢山いるが、カウリスマキ監督の画面はシンプルでさりげない。詫びさびを感じる色使いは、大人になってからもインテリアの参考にさせてもらっている。

いろいろ書きましたが、アキ・カウリスマキ作品で一番好きな映画は
「レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ」です。

おわり。


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