ファシリ

ファシリテーターの必要性

会議ファシリテーター普及協会代表
釘山健一氏の心に響く言葉より…

「会議より現場のほうが大事だ!」
あなたはそう思っていますか?

私は違います。

「会議も現場だ」。

これが私の考えです。

なぜならば、私にとって、

“体全体を使い新しいものを作り出していくクリエイティブな現場”

それが会議だからです。

このような今までの「常識を超えた会議」の進行役を
「ファシリテーター」と言います。

ファシリテーターの技術は奥が深く、
それを極めるには大変な努力と経験が必要です。

しかし、
ファシリテーターの技術の中には、
誰でもすぐに使える技術がたくさんあります。

例えば、次の例はどうでしょうか?

「この議題について、ご意見のある方はお願いします」

議長が参加者にこう言うと、
真っ先に手を挙げるのが「困ったちゃん」。

会議の中ですぐに手を挙げ、
しかも発言の長い人のことを私たちは
「困ったちゃん」と呼んでいます。

会議では、往々にして困ったちゃんばかり発言して、
他の参加者が発言しなくなってしまうことがあります。

なぜ、困ったちゃんが生まれるのか?

それは、会議のはじめに議長が
「この議題について、ご意見のある方はお願いします」と、
“全体に”向けて言うのが原因です。

議長なら必ずおこなうこの“普通”の進行が、
実は困ったちゃんを生んでいるのです。

では、どうしたらいいのでしょうか?

その方法は…。

会議のはじめは「発言」させるのではなく
「考える」時間にすることです。

そのために、ファシリテーターの最初の指示は

「この議題について、自分の意見を5分間、
お手元のA4の紙に書きながら整理してみてください」

となります。

これが、全員の意見を尊重する
ファシリテーターの進行のコツです。

これまで、「会議は、とにかく結論を出すことが最も大切だ」と考え、
参加者の納得を得ることよりも、
「結論」を決めることが最優先されてきました。

つまり、
参加者の十分な納得がなされないまま決定されていたのです。

そこで登場したのが、
会議の目的を「決める」ことから
「参加者が納得する」ことに変えた会議
「合意形成型会議」です。

そして、その合意形成型会議の進行役を
「ファシリテーター」といい、
そのスキルを「ファシリテーション」と言います。

会議の目的を「納得」することに変えることで、
会議は見違えるように変わります。

そして、「結論を出せばいい」ではなく、
「どのように参加者の合意や納得を得るか」と考えるとき、
今までの会議とまったく違う会議のやり方が見えてきます。

では、合意を図るにはどうしたらいいのか?

それは、できるだけたくさんの意見を引き出すことです。

思いを十分に語ることにより合意が生まれるからです。

参加者の合意を図る基本は、活発な発言にあります。

そして、活発な発言が出るためには
「自由な雰囲気」が必要です。

緊張感で満ち溢れた会議では、
自由に意見は出ません。

したがって、
ファシリテーターのスキルには
「自由な雰囲気をつくる技術」
も必要ということになります。

だから、ファシリテーターは極力、
意見の整理をしないほうがいいのです。

ファシリテーターが整理するのではなく、
できる限り、参加者自身に出された意見の整理をさせる、
それがファシリテーターの仕事です。

つまり、ファシリテーターとは「結論を出す会議」ではなく、
「合意を図りながら結論を出す会議」
の進行役のことを言うのです。

釘山氏は、
”ファシリテーター”のイメージは次のようなものだという。

「教えない」
「目立たない」
「リードしない」
「引っ張らない」
「意見を言わない」
「仕切らない」
「元気に話さない」
「中立」
「引き出す」
「支援する」
会議の「落しどころ」を考えない

ことだという。

つまり、会議を仕切らないこと。

昨今は様々な会議や勉強会で、
このファシリテーションが使われている。

なぜなら、
ファシリテーションが如何に有効かが知られてきたからだ。

かつての日本の高度成長のときは、
トップダウンや、シャンシャンと拍手で
強引に合意する会議でもなんとかなった。

しかし、狂騒の時代が過ぎ去った今、
「多様性を認める」とか「働き方改革」や「地域貢献」
また「環境保護」をはじめとした「SDGs」等々の
価値観が大きくクローズアップされるようになってきた。

そしてクリエティブな視点からも、
誰もが、ファシリテーターのスキルを
身につけても損はないだろう。


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