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湖を持つ人

こんばんは、こねこです。
なんとなく気持ちが落ち着いてきて、ようやく色々書く気になってきました。
毎度、私の気まぐれにお付き合いくださりありがとうございます。

私は傷ついた人が好きです。
より正確に言えば傷つき、闇を抱え、死を、本質を見つめる人が好きです。

飲み会の席でも、皆の話を聞いてニコニコしているけれど、ふとした瞬間に瞳がどこか遠くを見つめている人、いませんか?
私はそういう人が好きです。
そして、仲良くなる人、私が好きになるアーティストは大体そういう人です。

かつてファンだったUVERworldやずっと前からファンのAimer、ファンとは名乗れないかもしれないけれど好きな米津玄師。最近ハマりだした藤井風。

彼らの音楽からは生きることにもがき苦しんでいるのが伝わってきます。
きっと、私が知らないだけで他にも素敵なアーティストがいらっしゃるのでしょうけれど、、、


闇を見るたび、闇を見ている人を見るたび、思い出す詩があります。
茨木のり子さんの『みずうみ』です。


『みずうみ』

だいたいお母さんてものはさ
しいん
としたとこがなくちゃいけないんだ
名台詞を聴くものかな!
ふりかえると
お下げとお河童と
二つのランドセルがゆれてゆく
落葉の道
お母さんだけとはかぎらない
人間は誰でも心の底に
しいんと静かな湖を持つべきなのだ
田沢湖のように深く青い湖を
かくし持っているひとは
話すとわかる 二言 三言で
それこそ しいんと落ちついて
容易に増えも減りもしない自分の湖
さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖
教養や学歴とはなんの関係もないらしい
人間の魅力とは
たぶんその湖のあたりから
発する霧だ
早くもそのことに
気づいたらしい
小さな
二人の
娘たち

茨木のり子『倚りかからず』

私がずっと闇と思っていたものは湖だったのかもしれない、とこの詩を読んだ時に思いました。

これからも誰かの霧に包まれていたいです。
私にもあるでしょうか、湖。
しんとして。

気負うことない、空気のような場所であってほしい。 記事に共感していただけたら、 サポートしていただけると幸いです。