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『スタンド・バイ・ミー』

お久しぶりです。こねこです。
現在短編集を執筆中で、そのうち公開いたしますのでその際はどうぞよしなに。

さて、タイトルにもあるように、名画と有名なロブ・ライナー監督の『スタンド・バイ・ミー』を昨日鑑賞したため、その感想を書こうと思い立ち、現在文章を認めております。

⚠️この先ネタバレがあるかもしれません。まだご視聴でない方は自己責任でご覧ください。

この映画はホラー作家として名を馳せたスティーヴン・キングの短編集『恐怖の四季節』の秋編が原作だそうです。鑑賞中はホラーな感じがあまりしなかったため、これを知った時は意外でした。

しかし、暗い部分が一切なかったかと言われるとそうではない。
寧ろ、子どもである故の無力感や小さな田舎町の閉塞感、大人に信頼してもらえない絶望感……様々な葛藤や社会の闇を孕んだ作品です。
そんなどん底にいる少年たちの心の支えは友情。月がない夜に星が最も輝くように、闇の中を彷徨っている彼らだからこそ、彼らの友情がキラキラと輝いていました。それゆえに、最後に主人公が「12歳の時のような友情はもう2度と得られない」というようなことを言っていたのではないでしょうか。最後の主人公は温かな家庭に包まれており、光が見えにくくなっているのです。しかし、決して灯火が消えたわけではない。再び主人公が闇に囚われた時、彼はその輝きが自分の心中でずっと瞬いていたことを知るでしょう。

この映画の凄いところは上記に挙げたような複雑さを「少年たちが死体を見るために冒険に出る」というシンプルなプロットの中に違和感なく埋め込んでいることです。監督の腕が光っています。

さらに、この映画の完成度を高めているのはクリス役を演じたリバー・フェニックスの見事な演技。彼は23歳の時に麻薬中毒で夭逝してしまいましたが、この作品は彼の生命力で満ち満ちています。友人を救うために命を張り、「お前の父親はお前を知らないんだ」と憤り、主人公を良き道へ導こうと叱り、自分が死ねばよかったんだと泣く主人公の肩をそっと抱きしめたり……。しかし、強さだけでなく脆弱性も持ち合わせている。正反対の性質を小さな体に宿した、不安定な少年像を見事に演じ切っています。天晴れとしか言いようがない。

ちなみにですが、このリバー・フェニックスがモデルだと言われているのが吉田秋生先生の『バナナ・フィッシュ』のアッシュ・リンクスです。実際、視聴中に何度か既視感を覚えて調べてみたところ、そうだという説が多く納得しました。
『バナナ・フィッシュ』は原作もアニメも制覇するほどのファンなので、こんなに嬉しいことはありません。バナナ・フィッシュファンにもぜひ観ていただきたい作品、というかリバー・フェニックスをぜひ観ていただきたいです笑笑

映画の最後はただただ虚しいですが、現実世界をよく表しているとも思います。誰かが亡くなっても、それが例え大切な人であっても、生きている側の人生は続いていくのです。
亡くなった人は思い出の中に生きている。
そういうことかな、と思いながら映画を見終えました。

They'll stand by me.

エンドロールの「Stand by me」が沁みる。

これまで観た映画の中でもトップ10に入るほどこの映画を私は気に入りました。やはり、名作は名作ゆえに名作なのだと思います。普遍的な何かがあるのでしょうね。

また数年後に見返したいと思います。きっと昨日感じたこととは違うことを思うのでしょう。楽しみです。

それでは、またお会いしましょう。

P.S. お借りした画像のタイトルが「夏に観たい映画は『ブロークバック・マウンテン』」とありますが、私も同感です。

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