見出し画像

タレントプールの向き不向きについて考える

最近、テキストでアウトプットする機会が減ってきたので、気が向いた際にnoteでアウトプットをできればと思っています。

私は「MyTalent」というタレントプールサービスの責任者をやっているので、折角ならばサービスのまつわる話ができればと思っています。

過去のnoteはこちら
・タレントプール採用のすゝめ:こちら
・キャリア登録企業一覧:こちら


1.タレントプール採用とは

まず初めに、タレントプール採用について簡単にお話できればと思います。

「タレントプール採用」は一言で伝えると「オウンドビズリーチ」を構築し、短・中長期的に自社のデータベースにいる候補者様と接点を取りなが採用をしていきましょう。という概念です。

▼概念のイメージ

実際には、下記のような対象の方をタレントプールに登録をします。

  • 「新卒採用」や「中途採用」で接点があった候補者様

  • 自社を退職した元社員

  • 自社のイベントに参加してくれた候補者様

  • 採用サイトやオウンドメディアからタレントプールに登録した候補者様


2.タレントプールの重要性

以前のnoteでも記載しましたが、日本では「転職者」が増えていない一方で
企業の採用目標数は増えているため、採用目標未充足の企業が多いです。

今後訪れるシナリオは下記いずれかですが、どちらにしろタレントプールの構築・運用は極めて重要です。

●訪れるシナリオ①

転職者は今までと変わらず、年間300万人前後を推移。
・中途採用を強化する企業、新しく始める企業は更に増加し、結果として未充足の企業が更に増加。
・前年のビハインド分も次年度の目標に上乗せされるため、更に採用目標数が増加。

●訪れるシナリオ②

転職者数が現在の300万人前後から大幅に増加し、400万人・500万人と年々増加し、雇用の流動性が高まる。
・裏を返せば、今までは離職率が低かった企業においても退職者が増加することになるため、欠員補充を目的とした中途採用が増加
・中途採用を実施する企業が増える中で、結局は未充足企業は変わらない。
※労働人口が増える時代においては、新たな労働力が供給されるので需要が緩和されますが、日本は2020年から2030年の約10年で労働人口が約568万人も減少する時代なので、結局は労働力のパイを取り合う構図になります。

シナリオ①の場合は選考の辞退者も増えるでしょうし、そもそも、自社を第1想起してもらえないと応募すら獲得が困難になる時代が訪れてしまうため、転職検討前から継続接点を取ることが重要です。

シナリオ②の場合も同様に継続接点は重要ですが、「アルムナイ」の出戻り採用の推進等も非常に重要な施策となります。


3.タレントプールの向き不向き

さて、前置きが長くなりましたが、ここからが本題です。

タレントプールへの取り組みにおいて重要なことは「変数を理解すること」「決定ストーリーを描けるか」という2点になります。

3-1.「変数を理解すること」

基本的な変数はスカウトサービスと同様なので下記の通りです。

タレントプールが10名しかいない会社では、全ての率が100%で遷移しても、採用数は上限が10名となりますし、次年度には枯渇してしまいます。

逆にタレントプールは10,000名いるが、登録からの入社率が0.1%であれば年間で10名しか決まりません。

上記から、
・どれだけ継続的に「新しいプールを構築」するかという観点と
・どれだけCVRを上げるために配信(スカウト・メルマガ)受け皿(イベントや面談)の設計が出来るかが肝になります。


3-2.決定ストーリーを描けるか

3-1はダイレクトリクルーティングの普及に伴い、一般的にも普及してきたかと思います。

一方で、タレントプール特有の重要事項は、こちらになります

「決定ストーリーを描く」という言葉には2つの意味があります。

自社データベースと募集職種の親和性があるか
②自社データベースからの決定に繋がる理由が作れるか

まず「①」からお話します。
例えば、第二新卒強化を目的に「新卒辞退者」のデータを活用するとします。

「コンサルティングファーム」や「大手人材企業」をはじめ、「第二新卒×総合職」で採用をしている企業の場合、求めているのは「一定の地頭(学歴)」×「コミュニケーション力」だったりします。

上記の場合、新卒で最終フェーズまで進んだ学生や、内定を辞退した学生は適性検査も通過しており、かつ自社の選考基準も概ねクリアしているため、まさに採用をしたい対象となります。

このような場合は、「自社データベース」と「募集職種」の親和性が極めて高いと定義します。(勝手に)

逆に、
同じ「第二新卒層」の採用である場合も職種別採用だと話が変わります。

「20職種で30名の採用」をするといったメーカーがあった場合、「職種未経験OK」出ない限り、新卒辞退者データの活用がいきなり難しくなります。

卒業してからの現職の情報収集、本人の希望職種の回収など、通常のキャリア採用と同様のマッチングが必要になります。

このような場合、データ量は一定数あるが、「自社データベース」と「募集職種」の親和性は低い or 親和性の判断ができないと定義します。(勝手に)

上記を基に、自社ではどのような募集を行う可能性があり、どのような対象をタレントプールに蓄積するとよいのか、事前に検討をしておくと成果創出がしやすいです。

②決定のストーリーを描けるか

①にも紐づきますが、タレントプールに蓄積をしたタレントが、「なぜ自社に応募」し、「なぜ入社」してくれるのか、ストーリーを描けることが重要になります。

例えば、「SE」の場合、基本的な転職理由は下記のようなケースが多くなっております。
・残業時間が多いので転職して労働環境を改善したい
・より上流工程にチャレンジできる工程に行きたい
・顧客と直接取り引くができる環境、もしくはもう少し商流が上に段階から案件に参画をしたい。
・マネジメントへ挑戦をしたい
・開発力を身に着けたいのでベンダーコントロールだけではなく、実装ができる環境に行きたい。

今回は「2次請けのSIer」がタレントプールに取り組むとします。
※あくまで例として、エージェントをやっていた際の経験を基に記載しましており、他意は一切ないです

タレントプールには「中途採用の辞退者」を蓄積するとして、自社を辞退した候補者は採用で競合した「事業会社、コンサルティングファーム(ITコン)、プライムSIer、2次請けSIer、SES」など、どこかに入社をしています。

例えば、自社を辞退した候補者が「より商流を上げたい」という理由でコンサルティングファームやプライムSIerに入社していた場合、「自社のデータベース」と「募集職種の親和性」は非常に高い状態となりますが、決定ストーリーはやや描きにくい状態となります。

上記の場合、商流では勝つことができないため、
タイトルを上げてオファーをする
・現年収以上を確約する
・社長や役員が猛烈に口説く

など、現職から移る理由創りが必要となります。

上記が何もできない場合、
入社をしたがあまり社風が合わなかった
・聞いていた話と違い、炎上案件ばかりにアサインされる
・現職では昇格・昇給の道が描きにくい

などの候補者の環境変化に頼らざるを得なくなります。

このような場合は、辞退者のタレントプールだけに注力をしても中々決定が出しにくい構造になってしまうため、「自社の決定属性」と近い企業に属しているエンジニアの方をタレントプールに入れることが重要となります。

●結論

タレントプールでは、下記2点が重要である。
①自社データベースと募集職種の親和性があるか
②自社データベースからの決定に繋がる理由が作れるか

下記2点が揃っている場合は、スカウトサービスと同様にタレントプールの量とCVRが採用成果を決める変数になるため、地道に検証・改善を繰り返していく形になります。


(蛇足)

事業を伸ばすには「優秀な人材」が必須ですし、
「優秀な人材」こそが、事業を伸ばしてくれます。

結果的には、優秀な人に選んで貰える魅力的な会社を作るしかないのですが、GoogleやMeta、Amazonなど、給料も高く・データも豊富で・ビジネスの規模、インパクトが大きい会社が存在する中で、自社に振り向いてもらうには「リソース」を徹底的に割いて、「口説く」しか勝ち目はないです

優秀な方は常に複数の就業機会を持っているため転職市場に少ないですし、仮にいたとしても転職活動を始めだしてから採用に繋げることができるのは、「既に魅力的な会社」です。

そんな中で勝つには、口説き続けることが大事ですので、向き不向きも大事ですが、「前向き」に実行し続けることが非常に重要です。

ビジョナル南さん、ジョーシス(ラクスル創業者)松本さん、メルカリ山田さん・小泉さん、newmo青柳さんをはじめ、素敵な経営者の方は何年もかけて優秀な人を口説き、自社に参画してもらっています。

自社に入ってほしい人がいたときには、タレントプールを作って継続的に口説き続けましょう。


個人的に好きなnoteや動画、本


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?