はじめに

この文章は、父近藤國彦の供養のために彼の人生を振り返ろうとして、実は彼の人生を何も知らなかった彼の長男である私からのレクイエムであり、祖先の歴史について調べた一つのファミリーヒストリーである。

 父は、自の健康論を展開した「がん治療の闇を拓く」(KKロングセラーズ )と言う本を残しているが、自分自身の先祖や生い立ちや人生に関する記述は殆ど残していなかった。
父の死後、子孫のための記録を残してやろうと思い立ち、書き始めてはみたのだが父の兄弟も亡くなり、親族の世代交代が進んだ状況では、存命中の父のことを聞ける方も少ない。特に父と親しくしており住まいも近かった父の姉である叔母夫婦が父よりも先に亡くなっていたことは痛手だった。
もっと父と話し、父の話しを聞けばよかったと悔やんだ所で父は生き返ってはくれない。父は比較的几帳面な性格ではあったが、日記も残しておらず、文章で残っているのは執筆した本と若干のメモ( 90歳を超えてからブログを始め、その原稿は残っていた)程度である。父が何故、船酔いする体質なのに商船学校に進学したのか、また、子供の頃はどのような家庭環境だったのかそういった疑問にたいする解が残っていなかった。ならば、父の人生を残っている資料で掘り返してやろうと思った。
戸籍や系図を調べてひとりの人物の人生を浮かび上がらせる小説家のような筆力を私は持っていない。そこで、家系を調べて私なりに掘り起こした3世代と我々4代目までの家族の資料を書き残しておきたいと思うのである。

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