zoom打ち合わせ中、突然父が部屋の扉を開けた。

昨日は夜20時から青山のライブハウス「月見ル君想フ」のタカハシコウキさんとzoomで打ち合わせ。

タカハシさんのアイディアはいつも面白くてワクワクさせられるのだけど(今年2月の青山サーキットフェスでは3回ライブペインティングした。僕の一日の記録だ!でも最高に面白かった)

今回はspecial chatという仕組みを使ってオンライン上に仮想のライブハウスを作り、僕はライブペインティングをして、さらにはその仮想の空間の背景として用いるというもの。だからお客様のアイコンは僕の絵の中でミュージシャンの絵を聴くことになる。

まずはどうなるか?実験的になってしまうけれどとにかく1回目をやろうということで今週金曜日5月29日にやることになった。ご一緒させてもらうのは別所和洋さん×井上惇志さん(showmore)。二人とも素晴らしいピアノプレイヤー。楽しみです。限定40名とのこと。

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そうそう。その打ち合わせ中に父さんが突然扉をガラッと開けた。父さんにはノックする習慣がない。だからびっくりする(笑)

でも僕が仕事中に部屋を開けるのはとても珍しい。

だから何だろう?と思った。父は耳が遠いので、その場で「今打ち合わせ中なんだよ〜」とか言っても伝わらないのでタカハシさんに「ごめんね。ちょっと一瞬席を外すね」と父の元に寄った。

すると父が「今、テレビでとても面白い画家を取り上げているよ。父さんが大好きな画家なんだ」と言って僕が返事をする間も無くすぐに居間に戻っていった。

だから僕は居間まで行って父さんの横に座って耳元で「そうなんだね!!でも今、インターネットで会議をしているんだよ。録画されていると思うから後で見るね!」と言ったら少しそうなんだとバツが悪そうな顔をした。

それで再びタカハシさんと会議して(久しぶりに寺尾ブッダくんの顔も見れて嬉しかった)終わってから居間に戻るとその番組はまだやっていた。

それはBSの日テレの番組で神田日勝さんの特集だった。僕は恥ずかしながら不勉強で知らなかった。

父さんは「この人は北海道の十勝で農民をしながら独学で絵をした人なんだ。父さんは大好きなんだよ」と言った。

それで番組の後半を父さんと一緒に観た。その人の絵はとても良かった。独学でどんどん絵が変わっていた。しかしどの絵にも迫力があった。絵の密度が濃かった。

観ながら時々僕は父さんに「すごいね!」とか「面白い人だね!」とかいうと父さんは嬉しそうに頷いていた。

そうして番組が終わって僕が「この人に興味を持ったよ。教えてくれてありがとうね」というと「自分も北海道の片田舎が生まれそうだったから元々なんか親近感を感じていたのだけど、それにこの人が独学で独自の絵を描いて独自の活動をしているところもは康平と同じだから余計にそう思うようになったんだよ」と伝えれてくれた。

僕は、あぁ、だから父は僕にこのテレビをみせたかったんだなぁと思った。


父は僕の絵の活動や絵の中身についてもほとんど何も言わない。でも何も言わないだけで温かく見守ってくれているのを感じる。

数年前に少し酔っぱらっていたからちょっと大きな身振りをしながら「康平の絵は自由なところがいいんだよ。教育とか画壇とかそういうところから自由に、ただひたすら己が描きたいようにそれ一筋に打ち込めばいいんだ。そうすればちゃんと観てくれて理解する人が現れるんだ」

と言ってくれたことがあってそれは時々思い出すし、いつか父がいなくなってもずっと覚えていることなんだろうなと思う。


僕の父さん。お酒が大好き。↓

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