来年は何度も花見をしよ

今年はほとんど花見ができなかった。

散歩をしながら少し見るぐらいだった。一人で見る桜もいいけれど、やっぱり誰かと一緒に「綺麗だね」とか「まだ８分咲きだね」とか「桜が舞うところを見るのが一番好きなんだよ」とか話すのはとても楽しい。

そうだ、今年も父さんと桜は見たんだ。これは例年の行事。それは母さんのお墓まいりの時。

母さんの命日は3月28日。

だから開花が早いとしは満開になるし、遅い時は全然咲いていない。3月28日はそんな日だ。

そして今年は開花が早かったから満開だった。

お墓参りしながら「今年は満開だね」とか「今年は寒いからまだだね」とか話すのも僕と父さんの恒例になっている。

母さんが亡くなった時もまさに満開だった。

火葬場に向かう道が特に桜並木でたくさんの桜が舞っていた。

その桜並木を抜けるとき強い風が吹いて霊柩車が桜吹雪に包まれたようになった。

それを後ろの車から眺めながら「花が好きだったお母さんは喜んでいるかな」と父さんが言ったのを覚えている。