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白井良明さんコメント

近藤さんの作品を観た瞬間、胸の奥〜の方が冷やされるのだ。体でもなく頭でもなく。またその後2〜3秒にはふと安堵感で満たされる。それは僕らが行きたくてもなかなか行けない場所を彼は知らないうちに知ってるからかもしれないな。だからヒヤッと驚いてから安心する。イメージのかけらを大事にして不純物が入らないように描く集中力がいる仕事。長い画家ライフの中で掴んだ近藤さんの宝物だと思うし、これからもバンバン宝物を見せて欲しいです。Bravo ! Hurray , Hurray !!
白井良明(ムーンライダーズ/for instance)

11月下旬に発売された僕の初めての画集「ここは知らないけれど、知っている場所」に向けて白井良明さんからコメントをいただきました。

良明さんからコメントを頂いてしまった。それもこんな言葉で。。。めちゃくちゃ嬉しい。一生宝物にするような宝物箱にしまって時々箱を開けて眺めるような言葉だ。

良明さんと初めて出会ったのは2014年3月8日。だから後少しで7年になる。その頃、僕は渋谷7thfloorというライブハウスで「音×色」という自主企画をしていたのだけど、そこに出演して下さったのが最初だ。その時は他には渡辺シュンスケさん、アイゴンさん、アマゾン松田さんが出演してくださっている。

その時に初めて良明さんとご一緒させてもらったのだけどそれがとても楽しかった。初めてご一緒する僕のペイントをライブを始まってからものの数分で良明さんは心得たようで、いろんな音で見事に僕を導いていろんな絵を描かせてくれた。心の中で僕は(ここで目の前で弾いているのはあの白井良明さんなんだよなぁ〜〜)と感動するような不思議なような気持ちで一生懸命描いた。

良明さんが時々こっちを見てニカッと笑うところが本当に嬉しかった。

その時のライブの一部がこちら。
https://youtu.be/smTLimH7va8

そんな風に良明さんと出会い親交が始まったのだけど、一番嬉しかったのは良明さんのCDアルバムのジャケット絵を描かせてもらったこと。しかもなんとこのジャケットはライブペインティングで描いたのだ。つまり一回勝負でアルバムの絵を描くことになる。

これは本当に緊張した。絶対失敗できないと思った。だってあの良明さんのアルバムだよ。下手なことできないよ。だからこの時ばかりは事前に何を演奏するか教えてもらった。そしてなんとなく頭に流れを作って当日を迎えたのだ。

しかしライブハウスに着いて良明さんに挨拶すると「近藤くん、これ今日のセットリストだから」って渡された紙を見て僕は思わずのけぞった。事前に教えてもらったセットリストと全く違うのだ。曲順が違うどころか知らない新曲もある。。。

でも良明さんのいつものニカッとした笑顔をされていた。するとなんかできるような気にもなった。そして僕はこれは天が「近藤のライブペインティングを良明さんは評価しているのだから小細工なしにいつものライブのように描きなさい」と言ってきたのだと思った。

それで出来上がったのがこのジャケット。

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良明さんからは事前に「なんかギターお化けのようなそんな存在」というヒントをもらっていたのだけど自分としてそんな感じが出せた気がしていて、この絵はとても気に入っている。


それから良明さんとご一緒する機会はあまりないのだけどいつも刺激をもらってばっかりの大先輩。

これは遊びに行かせてもらったライブなんだけど2年前良明さんは「白井良明 40th&45th 記念 ”良明Wアニヴァーサリー〆升”~隅田川・打ち出でて見れば半世紀-5~」というライブを浅草公会堂で行なった。

これはもう良明さんの全キャリアと様々な友人たちが出演されたとんでもなく豪華なライブだったのだけど、アンコールの最後の最後に良明さんはたった一人でステージに上がってそして僕の大好きな「愛の仕事”musician”」という曲を歌われた。

それが本当に涙が止まらなかった。良明さんにはこうしてギターを弾いてきたのだし、そしてこの後もずっと弾いていくのだろうなと思った。そして僕もこんな風に絵の具をキャンバスに塗る人生を歩めたらなと思った。こんな愛のある表現ができるアーティストの先輩がいるということは嬉しいなと思った。

あともう一つ付け加えると良明さんとはお互いに星野道夫さんの大ファン同士である。良明さんの感性のどこか背後にはあのような大きな野生のような風景への憧れがあるのかと思うとどこかホッとする。

良明さん本当に素敵なコメントをありがとうございました。

近藤康平画集「ここは知らないけれど、知っている場所」
刊行/月とコンパス
特別寄稿 / 文月悠光(詩人)
装丁 / 坂川朱音
翻訳 / 岩渕デボラ
印刷 / サンエムカラー
製本 / 篠原紙工
箔押し加工 / コスモテック
4,700円 + 税 240 x 250mm 60頁 ドイツ装
ISBN / 978-4-909734-00-6

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