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先輩の大切さ~西野ブームから~

どれだけ、今の学生世代が、経済や社会全体の仕組みのわかりにくさと疎外感に打ちのめされているか。打ちのめされずに済むのは、大企業や大組織への就職を決めるなど、ごくごく一部かと思います。

以前の学生は、社会がわからなくても良かった

私などが学生の頃、わかりにくさに伴う疎外感を覚えなかったのは『勤めに出たらなんとかなる(私が把握し始めたのも社会人になってからです)』との思いや、『(知らなくても)国や企業の保障がある』との空気が、まだ大多数だったからです。今の学生の多くは、そうはいかないことぐらい、重々承知しています。
極論すれば、さらに先輩の方々、バブル崩壊までの入社組(だいたい53歳以上)や巨大企業の従業員であれば、管理職になっても、株式や資本のことを知らなくとも定年を迎えられる方が多数いました。経理部や財務部あるいは総務部などに配属されずに済めば、お金といえば給料の範囲で生きていくことが可能でした。正規雇用に終身雇用(退職しても企業年金がある)。もし会社が赤字になっても、自分ではなく会社が借金してくれるし、しばらくは銀行が助けてくれる。心理的にも経済成長が前提になっているから出来たことでした。この状況は歴史上の奇跡でしかなく、一時的ですが資本主義の成功例ともいえます。

遅くとも二十歳前後には経済や社会の仕組みをおぼろげでもつかむ必要な状態に戻ってきたのに、親にあたる世代は、子の「わかりにくさ」を解消してやれないケースが多いんです。親に限らず高校までの教員からも、前段のような事情で、仕組みの概要すら教えられていない場合があります。
今の私は、大学講師として微力を尽くしていますが、経済学部以外の学生となると、下手をすると銀行や税金の存在から話さなければならず、どこまで易しくしていいか、時間をかけてもいいのかを、つど悩む状況です。この私だって、学生じゃなくなってから、仕組みを覚えていった一人です。

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SDGs的なことを書いていると思いきや、情報社会関連、大学でも教えているボランティア活動などを書き連ねます。斜め視点な政治経済文化評論も書…

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