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誕生日、二十歳

最悪の気分だ。

人が定めた日付なんかに固執するのは馬鹿馬鹿しいと思うものの、あるものはあるのだ。

十一月十六日、今日は私の誕生日だ。二千三年生まれなので二十歳である。

二十歳といえば、法的に、酒、煙草、あとは競馬なんかの賭け事もできるようになる。とはいえ、同時に年金がどうとか、面倒くさいこともある。

よいのだ。別にそんなことは。重要なのは、誕生日に私が生まれてしまったという事実だ。

生まれたくなかっただの死にたいだのと毎日思っている私には、誕生日を愛せない。

こんなの親戚のおじちゃんからお金をもらうイベントでしかない。そんなものにすら手紙を送ってきて、おめでとうだのなんだのと。こちらの気も知らずに。

そもそもおじいちゃんおばあちゃんが子供なんてつくったから、私の両親が生まれたんだ。私の両親が勝手にセックスしたから私なんかが生まれたんだ。

特にだ。親には祝ってほしくないから祝わないでくれと釘を刺しているが、他の親戚はそれを知る由もなく祝ってくる。私が人生を謳歌していると思い込んでいる。全ての元凶はお前らなのに。考えるだけで憎ったらしくてたまらない。

私は、この連鎖を断ち切るためにも子供はつくらない。というか責任が持てない。どんなに子供が欲しくなってもこれは変わらないと思う。私はエゴだけで動く人間じゃない。

誰かは私のことを親不孝な子供だと言うかもしれない。そうかもしれない。でも、子不孝な親と孫不孝な爺婆がいるのだから別に良いだろう。

とっとと死なせてくれればいいのに。誕生日に派手に死にたいのに。勇気なんてないから誰か頼むよ。

酒を飲めば嫌なことが忘れられると聞いたことがある。私は酒を飲んで脳を麻痺させて、この前入手した積み木なんかで遊んでいようと思う。

今日から見える景色は変わるのだろうか。

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