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Rを活用した地域課題解決のためのヒント NDB分析編 #1(総論)

はじめに

地域課題解決には、当事者間で共通の課題認識が必要だと考えています。昨今、EBPM(Evidence-based policy making)*1という言葉で政策が語られるようになりましたが、ToBe(あるべき姿)への想いや個人の感覚的判断だけでなく根拠(エビデンス)に基づく課題設定の重要性は今後高まるものと思われます。
地域課題解決のためのエビデンスといっても、世の中には開示・非開示も含めて膨大な情報が存在しますが、このシリーズではネット上で公開されており誰もが自由に閲覧でき、誰もが自由にデータをダウンロードして分析できる情報を対象にしたいと思います。なお、該当するデータがネットにない場合は当局発表の公式によって新たなデータを作っていくことも検討していきます。
*1:https://www.mhlw.go.jp/jigyo_shiwake/dl_h30/mtg0508_07.pdf

地域課題の設定

地域課題は、私の興味を優先して、医療、介護、健康に関する課題としたいと思います。多くの自治体では優先課題として取り上げられることも多く、またエビデンスに基づく政策決定が十分に行われていない領域だと認識していますので、試行錯誤して何らかのインサイトを見つける価値はありそうです。
また、医療、介護、健康に関する課題は地域差があります。例えば、健康寿命(日常生活に制限のない期間の平均)を都道府県別に見ると、男性の場合はTOPの山梨県(73.21歳)と最下位の秋田県(71.21歳)に2.0歳もの差があります。*2
健康寿命の延伸を課題設定にした場合は、なぜそのような差が生じているかを地域毎の特性や要因から推論することができれば、何らかの対策も検討できそうです。
*2:https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65675?site=nli

NDBオープンデータとは

厚生労働省が公開しているNDB(National Database)*3とは、レセプト情報・特定健診等情報データベースの名称であり、国民が医療機関や薬局を受診し保険者に医療費を請求するレセプト(診療報酬明細書)を集計したものです。基本的には全国民が医科・歯科・調剤の診療報酬点数表に基づきどのような医療行為をどの程度受けたのかを地域別・年齢階層別に時系列で把握することができます。当然のことながら、医療情報は個人の非常に機微な情報に該当しますので、公開されている情報はそれらを集計したものになっています。
また、40歳以上が対象となる特定健診のデータもNDBには含まれており、血液検査などの検査結果や検診時の質問の回答結果などを地域別・年齢階層別に時系列で把握することができます。
このシリーズでは、まずは特定検診データについて、地域差や男女別・年齢階層別の差を可視化して俯瞰しつつ、これらのデータと何らかのつながり(相関)がありそうなデータを探索して、疫学的な視点からも分析してみるつもりです。
なお、NDBについてもある程度の可視化*4が可能になっています。まずは分析サイト(BIツール)で関係性の当たりをつけてみるというのもいいと思います。
*3:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html
*4:https://www.mhlw.go.jp/ndb/opendatasite/index.html

R言語について

データの可視化及び分析には統計処理に特化したR言語を使用します。エクセルもデータの前処理に使用しますが、分析に使える機能に限界があります。高度な統計処理や機械学習にはRが現時点では使いやすいと思っています(エクセルにAIが実装されれば変わるかもしれませんが)。
Rの開発環境は、RStudio(Windows版)を使用します。Rスクリプトについてはなるべく分かりやすくコーディングしたため、無駄な処理や回りくどい表現が多いかもしれません。あらかじめご了承ください。R言語について詳しく学びたい方は成書を参照ください(時間があったら私が学習に使用した書籍はまとめて公開します)。
なお、ある程度の成果が得られましたら、エクセル使いの方用にpivotやクエリー、Power BIなどへの実装も検討したいと思います。

今回のシリーズと今後の展開について

今回の投稿記事は#10までを予定しており順次公開していきます。専門性の高い領域であり、Rのスクリプト及びplotなどの成果物を多く掲載していきますので有料記事とさせて頂ければと思います。
次のシリーズとしてはNDB以外のオープンデータを使いながら地域課題の解決につながりそうなインサイトを探索してみたいと思います。
それではどうぞよろしくお願いいたします。






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