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メイドの手帖。腐ったみかんは箱ごと捨てろ。

Netflixで「メイドの手帖」を見た。
単発映画だと思って見始めたのであるが、まさかのシリーズもの。しまった、、と思いつつも、すでに見るのをやめられない。ストストと見てしまった。

モラハラ夫から身一つで逃げ出したものの、身内は頼りにならず3歳になる娘を抱えている。高卒だし無職!
さあどうする? とりあえずメイドやります! という実体験を基にしたアメリカのストーリーである。

私はどうやら、社会問題を切り取ったエンタメが好きみたいだ。
今読んでる本は桐野夏生の「燕はもどってこない」(代理母出産の話)と「砂に埋もれる犬」(ネグレクトの話)。
次に読む予定の本は、角田光代の「坂の途中の家」(裁判員制度)。

少し前に読んでいたのは林真理子の「我らがパラダイス」(高級老人ホームの話。しかし途中で読むのを断念。林真理子作品で好きなのは「下流の宴」と「野心のススメ」。)
「女たちの避難所」(東日本大震災時の女性たち)はなかなか面白かった!

外出先で読んでいるのは村上春樹の「世界の終わりとハードボイルド」だが、私はハルキストではない。たまにふと手に取るだけである。
村上春樹作品は、世界観とか文調に慣れるのに10ページ以上を要するから最初はとても疲れる。そこからはとても面白いから、なんとも不思議だ。

話がずれてしまったが、「メイドの手帖」の何がすごいって。主人公の周りに「普通の人」が1人もいないことー!!

母親は妄想癖のあるキ●ガイのアーティスト。
旦那はTHE・アル中のバーテンダー。
母親の彼氏はオーストラリア出身と嘘こきつづける詐欺師で、ほんとの父親は一見優しいけど元アル中で母親をビシビシ殴ってた奴。

元バイト仲間の親友(?)はクスリやってるし、その親友の周りも治安悪め。

心休まるときがないのねん。
唯一ちゃんとしてたのは、元バイト仲間で今は社会的にも安定しててメンタルも穏やかなシングルファーザーの人(名前忘れました)。
この人が1番いい男じゃん! って一目瞭然なんだけれど。
家庭環境が複雑でこじれてる主人公は、同じく複雑でこじれてる人に惹かれてしまうんですなぁ。

もうめちゃくちゃイライラしたのはさ、娘のバースデーパーティーにそこら辺いっぺんに呼んだことね。
キ●ガイの母親は酒飲みたいとか騒ぐし、断酒中の元旦那はその流れで酒飲むし。
女友達は気持ちよくリズムにのって踊り出すしさー。
ほんとあったまきました。
送別会にさ、送別される人と全然深く絡んでない知り合いを呼んじゃう幹事っているじゃん?
そのときの幹事に対する怒りを思い出すよね。
「、、、心から送別する気ある?」。

女友達のとこに逃げようとするけど治安悪めの仲間がいるから心配で身を寄せられない。
母親につい頼ろうとすると詐欺師彼氏に振り回される。
ほんとの父親は、元旦那と断酒サークル仲間。元旦那の肩を持つ。

腐ったみかんを箱ごと捨てないから、解決しても解決しても新たな問題が浮上するわけなのです。

最終的には、腐ったみかんサークルとは全く関係ないところで出会ったメンヘラ女性弁護士(強烈だけど悪い人ではない)によって元旦那とも精算、ミズーリ州の大学に進学できることも決定。
腐ったみかんプレイスを離れられるわけなのね。

が、母親への依存心がどうしても捨てられず。母親をミズーリ州に誘っちゃうわけなんですよ。一緒に行こう?ってね。
ちょっと待って〜、これシーズン2もあるの?
この母親がいたらまた警察のお世話になるよ〜。

私の気持ちはもうぐったりしていたのだが、、なんと母親は新しい彼氏(モラハラ臭すごい)と同棲することを決め、ミズーリ州にはついていかない、と。

うわっほーい!!
おめでとー!!
素晴らしいエンディングとなった。

たまにさ、「なんの苦労もしてなさそうだね」って言われてる人いるじゃん?
単に運が良くて苦労してないわけじゃなくて、わりときちんと考えて動いてるからなんだよね。とも思う。
もちろん、自分ではどうしようもない環境や病気なんかもあるけどね。

モラハラ男とうっかり結婚したことはまあ仕方ないとしても。
まず娘連れてなんの準備もないまま身一つで旦那から逃げないし、母親とは縁切るし。てか、初動の段階で引っ越すよね? っていう。

主人公及びその周りにはイライラさせられっぱなしだったけれども。
娘への愛情、自尊心、1人でやってくぞという覚悟。
主人公のかっこいいところもあったし面白かったな。

ミズーリ州で、腐ったみかんサークルに入らないことを祈る!!

おしまい。





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