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ECの変遷とトレンド

こちらは3月6日にOKINAWA Dialogにて行われた、デジタルで沖縄のファッションを加速させる 「ITを使って、ファッションをアップデート」というイベントで話させていただいた内容です。

みなさん初めて自分で服を買った場所って覚えてますか?

私はヤフオクでした。

というのも、私が小学生の頃、母がクラシックバレエの衣装の輸入と販売をしていてオンラインでの取引を私が管理していてヤフオクのアカウントでこそっと自分の欲しい服を探して落札していました(ちなみにナルミヤのエンジェルブルー)

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その後も好きなファッションブランドが沖縄で販売しているところが少なかったのでずっとECサイトで洋服を購入してきました。

なので今回はECと共に成長をしてきた身としてそのECの変遷とトレンド、面白いマーケティング施策を行っているブランドを紹介したいと思います。


そもそもECって?

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エレクトロニック・コマース(electronic commerce)の略称で電子商取引のことです。
ECということばは指す範囲が広いのですが、今回は、”インターネットでモノやサービスを売買する”という意味を指します。

2007年のiPhone登場以降、EC業界の発展もさらに加速して行きました。


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出典:平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備
(電子商取引に関する市場調査)


フリマアプリの市場規模は2012年にフリルが登場、2013年にはメルカリが登場して以降急激に伸びていて、日本でも多くの人がオンラインでモノを売買するのが一般的になっています。

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出典:平成30年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備
(電子商取引に関する市場調査)


その成長している市場の中でも市場規模が大きい会社は、言うまでもなくAmazonです。


デジタル化で日本の先を行くアメリカでもダントツでAmazon一強となっています。

創業23年目を迎えた今年も勢いは衰えることなく、オンライン小売業界内での取引総額は2013年の20%から、2017年には28%のシェアまで伸ばしている。すなわちオンラインでの買い物は、約3割がアマゾンで行われているということだ。さらに純売上は528憶ドルと、業界2位で140億ドルを誇るWalmart(ウォルマート)の約4倍にもなる。 
引用: https://transcosmos.com/jp/america-ecommerce-amazon/


もちろん、Amazonの一人勝ちにはさせないぞ!と言う人たちが人たちが出てきます。そこで出てきたのがD2Cというビジネスモデルです。

D2Cってなんぞや?というとDirect to Consumer (ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の略です。

メーカーやブランドが自社で企画・製造した商品を、従来の小売業者などを介さずに、自社で制作したECサイトを使って直接(Direct)消費者(Consumer)に販売する仕組み
 - Shopifyブログ: https://www.shopify.jp/blog/d2c-ecommerce


長く使ってくれたりファンになってくれるお客様を多く集めるためには、D2CブランドはAmazonのような巨大小売企業よりも有利です。顧客の好みや要望を反映させ、すぐに修正することができ、このような深い繋がりをつくるのはAmazon上で再現することは難しいのです。


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そして、次に大事なのが イミ消費です。


近年ミレニアルズを中心に見られるようになった消費行動を表す言葉として注目される概念で、商品・サービス自体の機能だけではなく、それらに付帯する社会的・文化的な「価値」に共感して選択する消費行動です。


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ここからは、この社会的な価値世界観をブランディングして成功した世界的なD2Cブランドを紹介したいと思います。


▼世界のD2Cブランド


①Warby Parker (ワービーパーカー)

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WarbyParkerは、売上と直結しない中長期なブランディングやPR戦略を多く実践してきたことで有名です。

世界人口の15%の人がメガネが必要にも関わらず手に入れることができないという社会課題に対して、メガネ1つの売上あたり1つを開発途上国の人々に寄付する「Buy a pair, Give a pair」を創業当初から実施して5年と言う比較的短い期間でロイヤリティーの高い顧客を獲得し、安定的な成長をしてきました。
今では、10億ドル以上の企業価値を持つスタートアップ企業と言われています。


②Everlane (エバーレーン)

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https://www.everlane.com/

Everlaneは徹底的な透明性をコンセプトに商品に対してどれほどお金がかかったのか、工場の様子を公開することで消費者が納得して購買できるようになっており、店舗コストやプロモーションコストを極力を抑えて、製品価格に還元しています。

他にもLGBTQ+の方々のエンパワメントや人種差別撤廃の運動として100%HUMANというキャンペーンを開催しています。



③Glossier. (グロシエ)

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Glossier.は、SKIN FIRST. MAKEUP SECOND.のメッセージからも分かるように、肌本来の美しさを引き出し、メイクアップは最低限に、というのがブランドのコンセプトです。
全てパラベンとアルコールが不使用で肌に優しく、動物実験を一切していないのも特徴で、商品ページでは同じリップのカラーを肌の色が異なるモデルの画像を見れてフィルターも過剰すぎずナチュラルです。

CEOのエミリー・ワイスは、VOGUEのアシスタント時代のブログ「Into The Gloss」でリアルなコスメレビューで人気を集め、Glossierを立ち上げました。そのためD2Cのメリットである「顧客接点を直接持ちフィードバックから商品開発を行う」ことを徹底しています。


▼D2Cのリアル店舗

オンライン市場の競争が激化する中、より低コストで顧客を獲得し、新製品をテストするためのマーケティングツールとしてリアル店舗を持つD2Cブランドも多いです。

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アメリカのD2C専門デパートNeighborhood Goodsの創業者マット・アレキサンダー氏の言葉からD2Cの要である社会的価値や世界観を大事にしていることがよくわかります。

 われわれは顧客との長期的な関係を構築すべく、「売り上げ」ではなく「顧客体験」の最大化を重視していることについて強調しておきたい。
われわれの店舗ではスタッフが顧客に押し売りすることなく、ホスピタリティを持ってブランドや商品に関する「ストーリーテリング」に徹している。
東洋経済ONLINE: https://toyokeizai.net/articles/-/317202?page=3


国内でも、最近リニューアルした渋谷PARCOに入ってるCAMP FIREのBOOSTERS STUDIOが同じような役割をしているのだと思います。

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クラウドファンディングを通じて誕生したプロダクトや、リテールストアに展開前のプロダクトなどを展示し、販路拡大にむけたテストマーケティングを行うことができます。


次に、数あるD2Cブランドの中でも個人的に好きなブランドを紹介したいと思います。

▼国内D2Cブランド

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①RiLi .tokyo

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RiLiはInstagramのフォロワーが25万人超。
Instagramで集客を行うアパレルコマース事業の争いが激しい中で着実な成長を見せているメディアです。
ルミネエスト新宿で開催したポップアップストアでは歴代最高記録を更新しました。
代表のあさとさん(@asato_dx)とお会いした際に、RiLiは昔でいう赤文字系や青文字系、原宿系のように「RiLiっぽい」という概念をつくり、同じ価値観を持った人が集まる熱量のあるコミュニティをつくりあげることを目標にしているとおっしゃってました。


②北欧、暮らしの道具店

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https://hokuohkurashi.com/

知っている方も多いかと思いますが、北欧、暮らしの道具店はインテリア雑貨やオリジナルの小物・洋服などの販売を行うネットショップです。
どの商品も、作り手の顔が浮かび、思い入れやこだわりがしっかり伝わってきます。
最近では、YouTubeチャンネルが有名で動画で世界観を伝えると言う意味では随一のブランドかもしれません。
ストーリー性のある動画で面白いのでみなさんもぜひ見てみてください。


③Factelier (ファクトリエ)

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https://factelier.com/

ファクトリエは、ファストファッションによる大量消費という流れに革命をおこしているオンラインファッションブランドです。
工場での「製造」や工場がもつ「こだわり」などを公開し、日本から愛着がもてる商品を届けることを信念としています。

ホームページを持たない工場に代わって顧客に発信して、工場と顧客を直接つなぐブランドであることがファクトリエのコンセプトです。



このようにブランディングを徹底してファンづくりに注力しているブランドが成功しており、これからも長期的視野を持って地道に長く、顧客と深く関わっていく企業が残っていくのではないかと考えます。


▼最後に

私の人生の手本にしている日本資本主義の父、渋沢栄一先生の言葉

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"真の富は道徳に基づくものでなければ決して永くは続かない" 


ただの利益追求のビジネスではなく、道徳に基づく理念があれば自分が死んでも、人はそれを目指して歩み続け、社会によりよい影響を与えていけるブランド・企業になると信じています。


今後もファッションのみならず、さまざまなモノづくり領域でD2Cの形態をしたビジネスが生まれてくるでしょう。顧客と深く関わりそれぞれの思想・世界観のみえる「社会」に対して良いインパクトを与えるブランドが増えていくことを楽しみにしています。

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