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第一・第二もみじ作業所 所長 古川大介さんインタビュー【第5回】他者との関わりを通じて見えてくる「その人らしさ」と森安真子さんの折り合い地点

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皆さん、本当に楽しそうにペインティングされていましたね。外から描いておられる方もいて、びっくりしました。

古川
これ(インタビュー時机の上にあった切り抜き)は、外から描いていた森安真子さんのものです。

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(森安真子さんと、森安さんが持ち歩くキャラクターの切り抜き)

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あぁ、そうでしたか!森安さん、描いている途中にどこかに行って、人形を取ってきてくれたんですよ。どこから持ってきたのかな?と思ってたら、ここだったんですね。

古川
ですねぇ。

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そうでしたかぁ~。でも、離れられているのがすごいですね。

古川
そうですねぇ。ちっちゃいのがなくなっても気づきますからね。

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そうなんですか!

古川
「ないないない!」って。ご自分が思い入れが少ない分だったらそこまでですけど、その時その時で大事にしているキャラクターがあって、それがないと探していますね。

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大事なものなんですねぇ。

古川
そうですねぇ。

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(窓の外から棒先に筆を付けてペインティングする森安さん)

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あの、もみじさんはアート活動として時間を設けているわけじゃないんですよね。

古川
そうですねぇ、仕事の一環というところでの企画がまずあって、それに基づいた表現っていうところでしょうか。さをり・縫製グループのテント生地に描く活動なんかは、毎週月曜日・水曜日と決めて仕事として取り組んでいますね。

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確かに、みなさん働いていますよね。

古川
そうですね、基本的には。なかなか難しい面もあるんですけど。

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はい。

古川
うちは「あるがままに」っていうよりかは…そういう自分らしさっていうのは、やっぱり一人では生まれないものじゃないかなっていう思いもあって。やっぱり他の人との関わりとか、他の人とのやりとりの中で自分らしさっていうものはできていくものだと思っているので、その人らしさというのが「一人で自由に、自分がやりたいことをやること」っていうのともちょっと違うんじゃないかなっていう捉え方をしているんですよね。

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うんうん。

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古川
しんどいけどちょっとがんばろうよ、とか。難しいかもしれないでもそれを待っている人がいたり、とか。これを手伝ったらできるかね?とか。自分の矛盾と出会ったときにそれを回避したり、どうやって乗り越えたり、解決していけるか、というところを…やっぱりそこを大事にしたいなっていうのがあって。

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はい。

古川
だから本当に、何も決めずに「自由になんでもしていいよ!」っていうのは、逆に難しいんじゃないかな。自分の好きなことがわかっていて、こうしたらこうなるっていうイメージが湧いる人にはいいかもしれないんですけど、そこにサポートが必要な人もいるので。「自分は、何がやりたいんだろうか?」とか、その辺りから一緒に作っていく・探していく・引き出していくっていうのは、やっぱり職員の大事な仕事だと思っています。

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うんうん

古川
なんかこう…うん。やっぱり「働く」っていうことを真ん中に置いているところはありますね。

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一人じゃ働けないですもんね。

古川
何しても、どんなに突き詰めていっても、一人は難しいじゃないですか。

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私もそう思います。

古川
家で一人でパソコンに向かって何かするといっても、それは誰かを相手にした仕事にはなると思うので。

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他の人との関わりの中でその人らしさを大事にしているってことですよね。

古川
そうですね。うん、ですねぇ。

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あるがままって言葉は良いような気がするけど、実際の生活にあてはめたときにどうかな?っていうところはありますね。

古川
響きとしてはすごい、きれいというか。いい言葉なんだろうなぁと思うんですけど、あるがままなんていうのは本当に一瞬しかないと思っているんで。これは個人的にですが。(笑)

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そうですよねぇ。…森安さんもきっとあるがままだったらもうちょっと違うんじゃないかなぁと思うんですけど。

古川
きっとずっと家にいるんじゃないでしょうか。

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きっとこれだけやられる方だから、すごいだろうなぁと。

古川
仕事に行きたくない、でも、やっぱり一人は寂しい。人とのつながりを全て拒絶しているわけではなくて。

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うんうん。

古川
彼女なりに…折り合いですよね。折り合いをどこでつけるか、お互いの。

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お互いの。

古川
そうですねぇ、一人一人そこの地点というか…折り合い地点は全然違うんですけどね。

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はい。

古川
彼女が持ち歩いているものは、不安を解消するための、心の杖ではあるので、もちろん全てを取り上げるなんてことはしないんです。ただ、仕事で納品に行くときに、自分のものを抱えていては、届けるものも届けられませんよね。そういうところで「どうしようか?」と考えてもらったりとか。

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うんうん。

古川
あとはやっぱり、常に持っていなくても、ここに置いてあることがイメージできる、置いて「ある」っていうことがイメージできれば…それもまた人によると思うんですけどね。置いておくこと自体が不安で不安でっていう方もいると思うので。彼女も時期によりますしね。

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ふんふん。

古川
不安な時期はすごい、本当に。なんで…その時、その時でね、色々考えながらなんですけど。

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その時その時で、色々考えながら、折り合いをつけられているんですね。

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森安さんと、筆者に見せたかったお気に入りの人形

第6回(最終回)へつづく

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