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昼下がりのケンタッキーで、おじさんと。

おそらくもう10年以上前の話だ。

お腹がペコペコで、その当時よく行っていた駅にあるケンタッキーで、ランチをすることに決めた。

ちょうどお昼の時間だったので、お客さんが2列になって結構並んでいた。

メニューを見上げながら列に並ぶと、もう片方の列に、恰幅の良い白人のおじさんが並んでいた。

ちょうどカーネルサンダースの人形のような感じである。

その当時わたしが住んでいた所は、外国人はまだまだ珍しかった。

その当時と言うけれど、今だってアジア人こそ増えたが、いわゆる欧米人はあんまり見かけない。

わたしは元々英語が好きだし、海外にも旅に出始めた頃だったので、おじさんをじっと見てしまったのだと思う。おじさんがわたしの方を見た。

「ハロー!」と、とりあえず言った。

おじさんは、ちょっと迷った感じの表情を見せて、

「コンニチワ!」と言った。

「あ、日本語喋れるんですか?」と聞いたら、予想以上にペラペラだった(笑)。

日本語喋れるけど、英語で返した方がいいか、ちょっと迷ってくれたところが優しい。

確かに、おじさんは旅行という格好でもなかったし、仕事としてこんな地方にいるのなら、日本語喋れる可能性は高いかぁと後から思った。

なんちゃらセットの注文を終えると、

「ヨカッタラ、いっしょにタベマセンカ?」

と言われた。ということで、日本人のおじさんとは、なかなかこんなことにならないけど、アメリカ人のおじさんとランチをすることになった。

食べ始めていきなり、

「アナタの星座当てましょうカ?」と言われた。

なんじゃそら。まさか外国人のおじさんとランチして、星座を当てると提案されるなんて、予想のナナメ上を行く展開。

「え?星座ですか?はい、じゃあ当ててみてください。」と答えた。

「アナタ、蟹座デショ!」

うわ!まじで当てた!すげーなんだ、このおじさん。いやいや、星座は12個しかないけどさ、それでも1発で当てるってすごくないか?

「すごい!正解です!なんで分かるんですか?」と言ったら、

「アナタハ、優しいカラ。」と。

こんな短い間に、隠しきれない優しさが滲み出ていたのか(冗談です)、おじさんに星座を当てられてしまった。

よくよく聞いてみると、おじさんは占星術を生業にしているらしく、なんだかとっても詳しいらしかった。

今のわたしなら西洋占星術が好きだから、食いつくように話を聞いたと思うけど、その当時のわたしは、占い師マジすげーくらいにしか思っていなかった。もったいないなぁ!

その後も、おじさんから見た日本人の話とか、わたしのこれからの旅の予定の話とか、楽しく時間を過ごした。

最初に星座を当てられたことがインパクト強すぎて、他の話はあんまり覚えていないのだけど。

おじさんの方が、「そろそろ行かないと!アリガトウ!」と言って立ち上がり、占星術に興味があればとメアドをくれた。

「ありがとうございました。楽しかったです!」と言ったら、おじさんはわたしの手の甲にキスをして、ニッコリ笑って去っていった。



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