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出会った頃の夫

夫と出会った頃、

私達は10代で、当時、男性に辟易していた私にとって夫は珍しい人だった。

夫は私に全く興味がないようだった。

おい、夫。
未来のハズバンド。

興味ないどころか友達が私に告白するのを冷やかしたりしてた。

変な人、

と思った。

よく漫画でみる、「オレに興味ないだと?おもしれえやつ…」ってやつ。そのパターン。
私は私に興味なさそうなのが嬉しくて、一瞬で好きになった。

眼鏡をかけて、髪の毛は寝癖がついてて、女子に興味なさそうで、夫は変な人だった。ただひたすら頭が良かった。授業中テキストを読むだけで試験勉強はしないらしく、試験前日にヒーヒー言ってる私にとっては存在も何もかも「???」だった。

私が取ってる授業の試験日に夫が潜って、受けたこともない授業なのにすらすら解いて無記名で提出してた。

きっと私より高得点だった。
(私の名前を書いて提出してほしかった)

学校の帰りに遊んで、帰りに次の約束をして、

遊んで、
また、次の約束をして、

子供の頃の、「じゃあまたね!明日!」
みたいな付き合いが始まって、ずっとずっと長い時間一緒にいる事になった。

駅のホームで待ち合わせて毎日一緒に通学して、授業中にテキストに猫のパラパラ漫画書いて、大学のベンチでカップラーメン食べて、構内の芝生に寝っ転がって鳥を眺めたりした。1日中漫喫にもいたし、野良猫を追いかけて公園はしごもした。

「授業サボって遊びにいこう!」という私に夫が付き合わされ、試験前に泣きついて勉強を教えてもらった。何杯も頼んだコーヒーが冷めるまで、夫は自分の取ってない授業のテキストを片手に私に教えてくれた。

今でも、出会った頃の夫の姿を思い出す時がある。

袖の長いニットを着てて、眼鏡をかけてて、私のこと好きか分からない顔してた夫。

他人の顔した夫。

私の思い出の中にだけいる。

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