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いつまでLGBTを認める認めないのお気持ちベースで話すのか?性別は二極化でなくスペクトラムを描く

6月20日、
婚姻制度の目的は「一人の男性と一人の女性が子どもを産み、育てながら共同生活を送る関係に法的保護を与えること」であり、同性婚は認めない事は合憲という判決が出た。

これは端的に言うと都合の悪い人間は我慢してろ、社会システム変容する価値はないという切り捨て判決で、子供を産み育てという文言がある事から「生殖ありきの婚姻制度」と各所でdisられた。

「もはや昭和ではない」はずの日本の2022年の判決だ。

なんで一部の人が権利の欠けた状態で暮らしてるのか

他と同じように税金を収め日本の社会を構成している一員が、なんで権利の欠けた状態で暮らしてるのか?私には明らかにおかしく思える。
制度だから仕方ない、文句があるなら日本出ていけ、ではない。おかしいから制度を変えようと言っている。

性別はスペクトラムを描く

近年の研究で、性別とは男性と女性の二極化じゃなくXYとXXの間に無数のスペクトラムがあると明らかになった事は記憶に新しい。
LGBTが新しい概念じゃなくて、単なる事実だという事に理解が追いついてきてる兆し。

性スペクトラムの概念
性は雌雄の中間的な表現型を取り得ると同時に、典型的な雌雄の間で連続的に分布し得る。引用https://healthist.net/biology/1009/

私達に性別を決定付ける物は何なのか?心(自認)なのか見た目なのか。体は女性でY染色体を持つアスリートは男女どちらに所属するのか?
男子を出産した母の母体にY染色体が見つかった例は?
生きてる途中で自分の遺伝子情報まで弄れてしまう私達の性別は思うほど確かなものなのか?

いまこのような分からない事だらけだという事が露呈した段階で、社会はずっと性別は男と女の二極化を定義付けしてきた。
社会は「人間が」快適に過ごすために作った「人間のための」枠組みなので社会が違えばハーレムも合憲になる。全世界共通の前提など1つも無い。

でも我々はずっと男女2性別と思ってそれ用の制度を作ってきたから、LGBTの理解に関して世間の理解を得るのは人の倫理観や成熟度に寄るところが大きくて本当に難しい。
『LGBTも生きやすい社会を』みたいなお気持ちベースじゃなくて、

『私達が2つだと思っていた性別はスペクトラムがあり二極化では無いことが分かりました。よって今まで不便を強いられてきた同性婚を整備します』

が妥当なはず。今いる人を認める認めないの話がそもそも傲慢でおかしい。
そして同性婚は婚姻における享受を受けられるだけじゃなくて、マイノリティにとっては社会的に立ち位置を貰えるって事ですらある。

個人の尊厳のため実現する必要はあるものの、国民的議論が尽くされていない

今回の棄却の文言の一部に、

個人の尊厳の観点からは、同性カップルに対しても、公的承認を受け公証されることにより社会の中でカップルとして公に認知されて共同生活を営むことができることについての利益(公認に係る利益)を実現する必要があるといえるものの、そのためにどのような制度が適切であるかの国民的議論が尽くされていない現段階で本件諸規定が立法裁量を逸脱するものとして憲法24条2項に違反するとは認められない。

の文がある。つまり実現には国民的議論の成熟待ちとのことらしい。

社会変容=単なるコストではない

だけどほんとに話は進まないし、この社会では時には、「同性婚はわがままだ」「単なる嗜好だ」と言われる。システム改変もここでリソース使わないでどうすんのよ?と思うけどまあその考え方には色々ある。

ただ、その社会変容は単純な負荷コストではない事は声を大にして言いたい。その先に養子縁組の受け皿があるかもしれないし、目先のコストを敬遠しすぎると社会はリフレッシュされず澱み停滞する一方。
それにもし別に改変の先になんのメリットもなかったとしてもそんな事より、個人が幸福度を追求できる社会へ必ず近づく。現在色んな権利の欠けた状態で生きているLGBTの権利を補填する事を、「認める」「認めない」の感情論に留まりそれができない日本が先進国の仲間入りみたいなツラするのは正直片腹痛い。
家族の形が変わってしまう?いやもう変わってるんだって。

研究分野からのアプローチと説得力

そんな「認める認めない」という国民のあーだこーだいう認識を一本化してくれるのが歴然たる研究結果だと思う。この説得力はすごい。

「研究でこの事実が分かりました」って提示されることは本当に強い。

「男性にも女性にも相当大きな多様性があり、男女という二元的な性別では容易に定義できないオーバーラップ領域が確実に存在していると考えています」と、ロンドン大学ユニバーシティカレッジ児童健康研究所で性分化と内分泌学を研究するJohn Achermannは話す。
しかし、この種の発見は、性別を男か女かという二元的言葉で定義する一般社会ではなかなか受け入れられない。引用 https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v12/n5/揺れる性別の境界/62908


日本では確かNHKスペシャルが2年前取り上げたのが世間に対しての大きなアピールとしては最後だと思う。

性スペクトラムの「多様性」という言葉はいま「認める」「認めない」のお気持ちベースの話になってしまう。多様性を知る、なら分かるけど、多様性を認める、というのはどうも言葉選びが悪い。
まず性別が男女二極化できないことを知るべき、まずはそこからだと思う。


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追加、コメントありがとうございます。

NHKスペシャル→NHKのヒューマニエンス「オトコとオンナ “性”のゆらぎのミステリー」初回放送日: 2020年10月1日
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