M君の夢[ショート小説]
朝、目が覚めて、夢にM君が出てきたことに焦った。何年も名前を思い出したこともなかったのに。
小学校の同級生で、いつも隣にいるライバルだと思っていたM君。勉強も、クラスで笑いを取るのも、、、恋愛も。
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大人になって働きだしてから、なぜか高校に通い始めた。僕らはお互い同じ学校にいて。帰りの電車のなか、再会を喜んで普通に話せた。
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現実では中学が別々で疎遠になって、そのあとどこかへ引っ越して行っちゃった。でもまたどこかで会う運命だろうって、確信してた。
じつは一度再会したことがある。国立大学を受験する日の朝、同じ会場に見覚えのある顔を見つけて彼だと気づいた。向こうも多分気づいてる。でも、久しぶりで何を話せばいいかわからなくて、気づかないふりをした。試験中の彼の存在が頭をちらつくし、休み時間はすれ違わないように気をつけた。
結果的に自分は落っこちて、伝え聞いた噂ではT君は受かったらしい。
いまどうしているのか気になって、何度か名前を検索したことがある。でもありきたりな名前でまったくヒットしない(それは自分もだ)。
彼と仲良く話す夢を見て、もう会うことがないだろうことを数年ぶりに突きつけられた、土曜日の午前8時。
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