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小麦さん@小説を書く理系会社員
2022年3月29日 22:39
電車の時刻を気にしながら駅まで向かう。本屋の前の狭い歩道で、前から来たベビーカーを押す女性とすれ違った。その瞬間、何かが香り、頬のなめらかな感触と首筋がフラッシュバックした。振り返ってもそこに知った人はいない。これはファンデーションの香りだ。M先輩がつけていたものと同じの。****************電車の扉にもたれながら、M先輩を思い出していた。あの人を思い返すと
2022年3月5日 22:40
ダウンコートを脱ぎたくなる気温が続いて、週末、近所の咲き始めた梅園には人が群がっていた。ある人はスマホのカメラを枝に向けて、ある人はビニールシートを敷いて焼きそばを食べている。冬も終わりか・・・もうマフラーを巻いていられなくなる。例年だったら、これからどんどん暖かくなることにそわそわと期待したり、春に何を着ようか悩んだりしていた。今年は違う。彼女にカシミヤのセーターをもらったのは一